今回編集部が取り上げるのは、クレイジー二厘によるスマートフォン向けRPG『鍛冶師ノ姉ガ堕チル時…』である。604本という販売実績と、53件の評価から算出された4.55点というスコアは、同ジャンルのスマホタイトルとしては堅実な支持を集めていることの証左だ。「寝取られ」「実姉」「処女」というジャンルタグが示すとおり、本作はいわゆる「堕ち」系の物語構造を採用しているが、その筋立ての丁寧さと感情的な引力において、単なるエロゲームの枠を超えた完成度を持ちあわせている。
物語の主軸となるのは、小さな村で鍛冶師として生きる姉・アリッサと、彼女を慕う弟の主人公との関係だ。アリッサには夢がある。山の向こうにある王都に自らの鍛冶屋を構えること——それが彼女の長年の目標であり、プレイヤーがこの作品に感情移入する最初の入り口となる。弟はその夢を叶えるため、ダンジョンでの素材採取や各種イベントをこなしながら資金を集めていく。このゲームループ自体はオーソドックスなツクール系RPGのそれだが、重要なのはその過程で姉に何が起きていくかという点にある。
アリッサは「知らぬ間に」堕ちていく。この一点が本作の最大の設計的特徴だ。寝取られジャンルにおいて「知らぬ間に」という要素は非常に強力な演出手法であり、プレイヤー=弟が善意でダンジョンに潜り続けるあいだ、姉が別の男たちとの関係を深めていくという構造は、プレイヤーの行動そのものがドラマの進行と皮肉な対照を成す仕掛けになっている。努力が報われない、あるいは努力とは無関係のところで状況が動いていくという感覚は、このジャンルを好むユーザーにとって核心的な興奮源であり、本作はそこを丁寧に突いている。
本誌がとりわけ評価するのは、スマートフォン向けへの移植という点における完成度だ。ツクール系のゲームをモバイル環境で遊ぶにあたっては、UI操作性やテキスト可読性が大きな課題となるが、本作はその点でユーザーから安定した評価を得ている。4.55という高スコアはグラフィックや内容だけでなく、プレイ体験の質への信頼も反映されていると読むべきだろう。外出先でも、就寝前のベッドの上でも、この物語の「堕ち」をじっくりと体験できる環境が整っているわけだ。
キャラクター造形の面でも、アリッサというヒロインは特筆に値する。巨乳・爆乳というタグが示す肉体的な記号性に加え、「処女」という設定が彼女の純粋さと夢への誠実さを強調する役割を担っている。清廉なキャラクターが段階的に変容していくプロセスにこそ、このジャンルの美学がある。本作ではその変容が「姉」という関係性のフィルターを通して描かれるため、感情的な落差がより鋭く効いてくる。実姉という近接した血縁の存在が夢を語り、傍らで弟が懸命に動き回り、そしてその外側で別の物語が静かに進行している——この多層的な構造が、プレイヤーに複雑な読後感をもたらす。
ファンタジー世界観の構築もこの物語の土台を支えている。王都という目標地点、ダンジョンという行動空間、素材採取というゲームメカニクスが一体となって、「夢に向かって歩む姉弟」という前提を信じ込ませることに成功している。この世界観への没入感があってこそ、その夢が静かに蝕まれていく過程が重みを持つ。土台が脆ければ崩落の衝撃も薄れる。クレイジー二厘はその点をよく理解した設計をしている。
604本という数字はヒット作の域には届かないが、ニッチなジャンルのスマホタイトルとして考えれば、これは決して軽い数字ではない。評価件数53件に対する4.55点という高い平均スコアは、実際に購入・プレイしたユーザーの満足度が概して高いことを意味している。口コミによる支持の積み重ねが、このタイトルをスマホ向け寝取られRPGの佳作として定着させつつある。姉の夢と弟の献身、そしてその影で展開する別の顛末——この三角形が噛み合ったとき、本作は確かな爪痕を残す一本となる。
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