【Android版】コクハクゲエム

Circle: 背徳堂Release: 2024/07/03Updated: 2024/09/18
★ 4.56(100 reviews)Sales: 1,370

今回本誌が取り上げるのは、サークル「背徳堂」が手掛けたスマートフォン向けエロADV「コクハクゲエム」Android版だ。PC版で確固たる評価を築いたこの作品が、モバイルプラットフォームへと舞台を移し、新たな読者層へと届けられた。販売数1,370本、評価点4.56(100件)という数字が示すとおり、同人ゲーム市場においても安定した支持を獲得している注目作である。

本作の根幹を支えるのは、「告白ゲーム」という一風変わったゲームデザインだ。主人公は4日間の学園生活を通じて想い人・汐里へと告白することを最終目標に据えるが、その過程でクラスメイトの女子たちからの誘惑に抗わなければならない。「純愛値」というパラメータが登場するゲーム性は、一見シンプルに映るが、選択肢を重ねるごとに純愛という概念そのものが問い直されていく構造になっており、ゲームプレイの体験に思わぬ奥行きをもたらしている。一周あたり60分前後というプレイ時間の設計も、スマートフォンというプラットフォームの特性を十全に活かしたものだ。

キャラクターの造形について語らなければ、この作品の核心には触れられない。告白ゲームの発案者である桐島舞夏は、その美貌と裏腹な性格の悪さが際立つヒロインだ。主人公を一度フった過去を持ちながら、退屈しのぎに今度は自ら彼を追い詰めようとするという倒錯した構図が、退廃的なゲーム全体のトーンを牽引している。一方、倉石凛は清楚な外見の下に補助的な二重生活を隠しており、その落差が独特のスリルを生む。最も異色なのは島崎あおいだろう。183センチという大柄な体格と威圧的な態度を持ちながら、主人公への盲目的な好意すら自覚できていないという設定は、逆レという本作のジャンル的核心と巧みに噛み合っている。

そして忘れてはならないのが、汐里というヒロインの存在感だ。Hシーンが一切ない、いわば「聖域」として設定されたこのキャラクターが、物語全体の緊張感を維持するアンカーとして機能している。オタク趣味を通じて主人公と心を通わせてきた内気な先輩、という造形は古典的であるが、だからこそ「彼女への告白」という目標がプレイヤーに対してリアルな意味を持つ。欲望と純粋さの間で揺れる構造こそが、本作が単なる刺激物に終わらない理由のひとつだ。

シチュエーションの多彩さも特筆に値する。壁ドン、ぱふぱふ、パイズリ、騎乗位、密室プレイと、王道から変化球まで幅広く取り揃えつつ、「女性上位・逆転なし」という縛りがジャンル体験として一貫した色を作品に与えている。基本CG20枚に対してCG差分が323枚という構成は、同人ADVとしての表現密度の高さを物語っており、編集部としても数字の説得力を素直に認めるべき水準だ。

フルボイスではなくオープニングや一部シーン、最終日に限定した音声収録という判断も、同人ゲームとしての現実的なコスト感とクオリティのバランスを見極めた結果であり、むしろ声のある場面の価値を引き上げることに成功している。かの仔、秋山はるる、涼貴涼、ゆきかすみという面々が各キャラクターに息を吹き込んでおり、ここぞという場面での存在感は申し分ない。

退廃とインモラルを旗印に掲げながら、ゲームとしての骨格をしっかりと組み上げた「コクハクゲエム」は、背徳堂が積み上げてきた作家性の到達点として、ジャンルファンであれば手に取って損はない一本だと断言できる。スマートフォンという手のひらの中で展開されるこの小さな倒錯劇は、純愛という言葉の意味を問い続けながら、プレイヤーをゆっくりと飲み込んでいく。

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2024/09/18その他 PC版の2024年09月13日時点のデータを元にAPK版を作成いたしました。
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