【スマホ版】メランコリアンナ -MELANCHOLIANNA-

Circle: おもち工房Release: 2023/10/31
★ 4.37(235 reviews)Sales: 3,919

今回編集部が取り上げるのは、おもち工房が手がけたサイドビュー型アダルト脱出ゲーム「メランコリアンナ -MELANCHOLIANNA-」のスマートフォン版である。PC版として発表されて以来、着実に支持を積み重ねてきた本作は、スマートフォンという新たなプラットフォームへの移植を果たし、いよいよより広いプレイヤー層へとその世界観を届けることになった。販売数は3,919本、評価は235件から4.37点という数字が示すとおり、同人ゲーム市場においても一定の存在感を放つ作品だ。

本作の骨格をなすのは、謎の館を舞台にしたサイドビュー形式の探索脱出ゲームという構造である。主人公の少女が目覚めたとき、彼女の目の前には見慣れない薄暗い空間が広がっている。プレイヤーはその館の中をくまなく探索し、散在するアイテムを収集し、謎を解き明かしながら出口を目指すことになる。こうした「脱出」というテーマ自体は決して珍しいものではないが、本作がひと味異なるのは、そのゲームプレイとエロティックな演出が有機的に結びついている点にある。

探索の過程で少女を阻む存在として登場するのが、蜘蛛、触手、怪人など多様な怪物たちだ。ジャンルに「異種えっち」が明示されているとおり、これらの怪物はただの障害物ではなく、物語的・視覚的な演出の核を担う存在として機能している。怪物に捕まったとき、あるいは力尽きたときに展開されるHシーンはフルアニメーションで描かれており、その動的な表現のクオリティが本作の評価を大きく押し上げる要因となっていることは明らかだ。同人ゲームにおいてアニメーションの実装はコストがかかる選択であるが、おもち工房はそこに惜しみなく注力している。

キャラクターの造形においても、本誌が注目したい要素は多い。「つるぺた」というジャンル表記が示すように、少女の外見は可憐にして幼い印象を持つが、ホラーという舞台設定と組み合わせることで独特の緊張感が生まれている。無力な存在が巨大な怪物に翻弄されるという構図は、アダルトゲームにおいて普遍的な魅力を持つ構造であり、本作はその文法を丁寧に踏まえながら独自の世界観を構築している点で、単なるCG集や断片的なシーン集とは一線を画している。

声優については、涼貴涼がキャラクター・タイガーリリーのボイスを担当している。このキャスティングは作品の雰囲気に合致しており、館の中に漂う孤独感と危機感を、声という次元でも丁寧に補完している。アニメーションと音声が重なることで、Hシーンの没入度はより高まる。同人ゲームにおいてフルボイスかつフルアニメーションという仕様を実現している作品は、予算・人手の制約から多くはない。その意味で本作は、同人という枠を超えたクオリティへの意欲を示している作品だと言えるだろう。

スマートフォン版への移植という側面から考えると、本作はアニメーションを多用した作品でもある。処理負荷への配慮が求められるモバイル環境においてこれを実現するというのは、開発側の技術的な判断が問われる部分でもあり、その挑戦自体が評価に値する。ゲームとしての完成度と、エロティックな演出の充実度を両立させようとする姿勢は、おもち工房という制作者の作品への誠実さを示すものだ。

本誌が今月の注目作としてこの一本を挙げる理由は、単に数字が優秀だからではない。探索・謎解き・怪物との遭遇というゲーム的な緊張感と、フルアニメーションによるエロティシズムが、館という閉じた舞台の中で一体となって機能している点、そしてその体験がスマートフォンという手軽なデバイスで完結するという間口の広さにある。ホラーとエロスの交差点に成立する、密度の高い同人ゲームとして、本作は確かな爪跡を残している。

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