【スマホ版】R*pers, Please

Circle: からあげカンパニーRelease: 2023/11/24
★ 4.25(117 reviews)Sales: 1,540

今回編集部が取り上げるのは、からあげカンパニーが手がけたスマートフォン向けアダルトシミュレーション「R*pers, Please」である。DLsiteにおける販売数1,540本、評価4.25点(117件)という数字は、このジャンルにおいて決して侮れない実績だ。本誌がとくに注目したのは、そのゲームデザインの骨格にある「ジレンマ構造」の巧みさである。

物語の主軸を担うのは、借金を抱えた元風俗嬢レベッカ。不本意な生活から抜け出そうと店長の元を訪れた彼女が、紆余曲折の末に辿り着いたのが入国監査官という職である。14日間の試用期間内に300Gの借金を完済しなければならないという制約は、プレイヤーに常に時間的プレッシャーをかけ続ける。この設定の秀逸な点は、「真面目に仕事をこなすだけでは借金は返せない」というゲーム的な現実にある。入国審査という一見まともな職業と、副業としての売春行為が常に天秤にかけられ、プレイヤーはレベッカの尊厳と経済的生存の間で選択を迫られ続ける。このテンションこそが、本作を単純なエロゲーに留まらせない要素だ。

ゲームプレイの中核となる入国審査システムは、有名PCゲーム「Papers, Please」を明確に意識したものだ。怪しい人物を見抜いて通行を拒否するか、あるいは詳しく取り調べを行うか。悪人やテロリストを誤って通過させてしまえば治安が低下し、最悪の場合レベッカ自身が被害に遭う。この「審査の失敗がヒロインに直接跳ね返る」設計は、ゲームオーバーを単なる失敗画面に終わらせず、一種のアンロックコンテンツとして機能させている。判断ミスにもゲーム的な「報酬」が存在するこの構造は、プレイヤーに反復プレイへの動機を与える。

もう一つの収益手段である取り調べ室と売春シーンは、審査業務と有機的に絡み合っている。入国者の中にはレベッカを誘惑してくる者が混在しており、借金返済の効率を上げるためにはその誘いを受け入れる選択肢も現実的な戦略となる。この「合理的な堕落」の設計は、プレイヤーに後ろめたさと快楽を同時に提供する。ゲームデザインとエロコンテンツが分離していない、一体化した体験を目指した姿勢は評価に値する。

コンテンツ面では、21のアニメーションシーンが収録されており、声優・鳴森りいあによるフルボイスが全編を彩る。アニメ調の作画は動きのある演出と相まって視覚的な満足度を高めており、巨乳・フェラチオ・パイズリといったメインジャンルを網羅した構成は、ターゲット層のニーズを的確に押さえている。また、エンディングが8種類用意されている点も見逃せない。レベッカの選択の積み重ねがどのような結末を招くかを確かめたいというリプレイ動機を生み出しており、ボリューム面での不満を和らげている。

スマートフォンという媒体についても触れておく必要がある。元々PC向けに開発された本作をスマホ向けに最適化した本バージョンは、タッチ操作の特性を活かした「おさわり」要素と親和性が高く、プラットフォームの選択として一定の合理性がある。羞恥・屈辱・恥辱系のシチュエーションを、スマートフォンという極めてプライベートな端末で体験するという行為自体が、一種の没入感を後押しする側面もあるだろう。

本作の強みを一言で表すならば、「社会的文脈をエロゲームの文法に翻訳する技術」に尽きる。借金・職業・尊厳という現実的なモチーフを、ゲームメカニクスと性的コンテンツに落とし込んだからあげカンパニーの設計眼は確かだ。評価4点台という数字がその完成度を静かに証明している。羞恥と葛藤の物語を丁寧に紡いだ本作は、シミュレーション系アダルトゲームの一つの到達点として、本誌の記録に刻む価値がある。

← Back to top

同人マガジン

当サイトは18歳以上を対象とした
同人作品レビューサイトです。
あなたは18歳以上ですか?