【スマホ版】いなりこんこん脱出絵巻

Circle: paper cup and adult keyRelease: 2023/11/24
★ 4.58(62 reviews)Sales: 750

今回本誌が取り上げるのは、サークル「paper cup and adult key」が手がけたスマートフォン向けRPG「いなりこんこん脱出絵巻」である。販売数750本、62件の評価から算出された平均スコアは4.58点という高水準を叩き出しており、同ジャンルの中でも際立った存在感を放つ作品だ。

本作の核心は、「逆レイプ」「M男性向け」というコンセプトを徹底的に追求した設計思想にある。プレイヤーは村人に翻弄される被食者ではなく、逆に村人たちを「狩る」側の二人のヒロインを操作するという構図だ。この立場の逆転が、同ジャンルの他作品との明確な差別化軸となっている。村の脱出という目的を達成するための手段として「エッチ」と「謎解き」の両方が用意されており、プレイスタイルによって物語の展開が変わる。エンディングが3種類存在するという事実は、単なるHシーン消化型のゲームではなく、繰り返しプレイを前提とした設計であることを示している。

キャラクター造形もこの作品の強みだ。メインヒロインの「いなり」は大昔に封印された妖狐であり、その性欲は人間の域を超えている。封印に至った経緯がそもそも「人を襲いすぎたから」という設定は、キャラクターの危うさと魅力を端的に表現している。一方の「弧兎」は交通事故死後の異世界転生という現代的な設定を持ちながら、前世での素行の悪さゆえにいなりの精神世界へ転生させられるという皮肉な経緯を背負う。この二人の組み合わせは、単純な悪役とも言い切れない複雑な人物像を作り上げており、ストーリーへの没入感を高めている。

ボイス面では、いなりを白川パコが、弧兎を鳴森りいあが演じるフルボイス仕様を採用している。両声優ともにM男性向けコンテンツでの実績を持つキャストであり、キャラクターの個性をボイスで確実に表現しきっている点は編集部も高く評価したい。24シーンに及ぶHイベントは、村人全員との絡みを網羅しているうえ、複数プレイのシーンも収録されており、ボリューム面でも水準以上の充実度だ。基本イラスト8枚ながら差分を含めると32枚に達するという構成は、限られたリソースを最大限に活用しようとするサークルの姿勢の表れでもある。

スマートフォン向けに最適化されたRPGという形式も見逃せないポイントだ。PC向けに展開されることが多いこのジャンルにおいて、スマートフォンで手軽にプレイできる環境を整えた判断は、ユーザー層の拡大につながる可能性を秘めている。移動中でも自室でも、場所を選ばないプレイ環境は、作品への接触機会を大幅に増やす。62件という決して少なくないレビュー数が高評価を維持しているという事実は、実際に手に取ったユーザーの満足度が高いことを示す客観的な指標だ。

サークルの作家性という観点からも、本作は興味深い。「結界の張られた村からの脱出」というシンプルなゲームループに、エロスと謎解きという二つのアプローチを組み込んだ設計は、プレイヤーに能動的な選択肢を与えながらも、物語の収束点を明確に設定している。この構造的な丁寧さが、4点台後半という高評価の土台を作り上げているのだと本誌は見ている。

妖狐という和風モチーフ、逆レイプという攻めのコンセプト、そして複数エンディングによるリプレイ性。これら三つの要素が有機的に絡み合い、一本の作品として完成度の高い体験を提供している本作は、M男性向けゲームの入門としても、ジャンル愛好家の一本としても、等しく推薦できる仕上がりだ。750本という販売数は、口コミによる広がりをまだ残している数字でもあり、今後さらなる評価の上積みが期待される。

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