【スマホ版】死んだはずの彼女~彼女でない“何か”に犯されて~

Circle: 背徳堂Release: 2023/12/01
★ 4.62(79 reviews)Sales: 968

今回編集部が取り上げるのは、背徳堂による逆レイプ・憑依ADV「死んだはずの彼女~彼女でない"何か"に犯されて~」のスマホ版である。現在968本の販売を記録し、79件の評価から4.62点という高水準の支持を得ているこの作品は、同人エロADVというジャンルの中でも一線を画す心理的深度と、ホラー的な背徳感を備えた一本として、本誌が強く注目する存在だ。

物語の舞台となるのは、ありふれた夏の帰省である。都会で働く主人公・三浦信也は、二年前に最愛の彼女・里沙を不慮の事故で失っていた。盆休暇を利用して故郷へ戻った彼を待ち受けていたのは、奇妙な空白だった。幼馴染も、里沙の両親も、まるで里沙の死そのものを記憶していないかのように振る舞う。彼女は生きていると、誰もが口を揃えるのだ。事実を確かめようと里沙の家を訪ねた信也が目にするものは何か——その問いこそが、本作の核心である。

このシナリオ構造の巧みさを、まず評価せねばならない。「死者が生き返る」という設定は、ホラーや怪談において使い古されたモチーフのように見える。しかし本作がそこに重ねるのは、愛情という人間の最も盲目的な感情である。信也は理性ではなく、喪失の痛みと恋慕の残滓によって行動する。その心理的な脆弱性が、得体の知れない存在によって完璧に利用される構図は、単純な肉体的征服を超えた精神的な侵食として機能している。これは恐怖であり、欲望であり、悲しみでもある。三つの感情が同時に炸裂する瞬間こそが、本作最大の魅力といえるだろう。

ジャンルタグに並ぶ「妖怪」「退廃・背徳・インモラル」「憑依」という言葉は、作品の雰囲気を的確に示している。里沙の姿を借りた"何か"は、信也の愛情を餌に彼を翻弄し、逆レイプという形で主導権を握り続ける。この女性上位・主人公受動という構造が、本作の背徳感を一層鋭くしている。主人公は抵抗できない。愛しているからこそ、あるいは愛していたからこそ、抗う意志を砕かれてゆく。その過程に、プレイヤーはぞくりとした官能を見出すはずだ。

エロ描写の充実度についても触れておきたい。フェラ・パイズリ・対面座位・騎乗位・顔面騎乗・ダブルフェラといった豊富なプレイ内容が、わずか30〜60分という凝縮されたプレイ時間の中に詰め込まれている。基本CG12枚にキャラ立ち絵差分を含めた総数121枚という規模感は、短編ADVとして十分な視覚的満足を提供するものだ。加えて、主人公以外のセックスシーンが含まれる点はスキップ対応がなされており、プレイヤーの嗜好に配慮した設計が行き届いている。

スマホ版という形態も本作の特性に馴染んでいる。操作はほぼ文章を読み進めるだけという一本道の構成は、アドベンチャーゲームとしての純度を高め、ノベルとしての没入感を確保している。ヒロイン攻略や分岐といった複雑な要素を排除することで、物語の一貫した緊張感が損なわれることなく維持される。隙間時間に手軽に起動できるスマホ環境との相性は抜群であり、短時間で強い読後感を得たいユーザーのニーズに応えている。

4.62点という評価は、この作品がいかに的確にターゲットの琴線に触れているかを示す数字だ。「恋人への愛情を利用され犯されたい」「人をかたどった得体の知れない何かに惹かれる」という、背徳と恐怖が交差する欲望の輪郭をピンポイントで捉えている。同人ゲームの強みとは、こうした大手では扱いにくいニッチな感情の急所を、小規模かつ高密度に突く点にある。背徳堂はその強みを、本作で存分に発揮してみせた。

死者への愛という普遍的な哀愁を底流に持ちながら、それを妖怪・憑依というファンタジー装置で性的な恐怖劇へと昇華させた本作は、エロADVというジャンルの一つの完成形を示している。愛と恐怖と欲望が渾然一体となった読後感は、他の作品では容易に得られない。一度開けばやめられない深淵が、夏の夜の帰省先に静かに口を開けて待っている。

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