【スマホ版】僕とお姉ちゃんの世界を観よ!

Circle: ねむみえぶりでーRelease: 2024/06/14
★ 4.34(44 reviews)Sales: 873

今回本誌が取り上げるのは、サークル「ねむみえぶりでー」が手がけたスマートフォン向けおねショタ日常探索型RPG、『僕とお姉ちゃんの世界を観よ!』だ。販売数873本、評価点4.34点(44件)という数字は、同ジャンルの競合作品が乱立するなかでも確実に読者の支持を集めていることを示している。本誌編集部がこの作品に注目した理由は、単なるおねショタ作品という枠組みを超えた、「視点」というシステム設計の独自性にある。

同人エロゲーにおいて「視点の切り替え」は珍しい概念ではない。しかしこの作品が他と一線を画しているのは、視点の変更がゲームプレイの本質に直結している点だ。プレイヤーは主人公「ぼく君」としてゲームを進めるが、物語の仕掛けとして彼の心は分裂し、会話した相手の身体に吸い込まれるという設定が導入される。つまり視点の交代は演出上の飾りではなく、ストーリーの根幹に組み込まれた必然的なメカニズムとして機能しているのだ。この設計の巧みさは、プレイを進めるにつれてじわじわと実感できる。

舞台はごく普通の町。一見地味に思えるこの選択は、実は本作の世界観を成立させる上で非常に重要な判断だと編集部は見ている。非日常的な設定や異世界を持ち込まず、あえて「どこにでもある日常」を採用することで、視点変更によって見えてくる「同じ場所・同じ出来事の別の顔」という体験が際立つ。現実においても、同じ出来事を複数の人間が体験すれば、その内面はまったく異なる。本作はその当たり前の事実をゲームメカニクスとして昇華しており、プレイヤーはモブキャラにさえ乗り移ることができる。この「誰にでもなれる」という設計は、覗き見的な興奮とキャラクターへの没入感を同時に提供する。

登場するメインキャラクターは二人。おしとやかな外見の裏に意外な本性を秘めた「結衣」と、性にオープンでフレンドリーな「芽衣」という対照的な配置は、おねショタジャンルの文法に沿いながらも、それぞれの視点から体験できるという本作の仕組みによって単純なキャラ属性の羅列には終わらない。結衣の「表に出ない内面」は、むしろ彼女の視点でプレイすることで初めて開示される構造になっており、視点切り替えが単なるシーン数稼ぎではなくキャラクター理解のためのツールとして機能している点が秀逸だ。

Hシーンは22個、それぞれが2視点で用意されているという数的な充実度も見逃せない。基本CG13枚という数字だけを切り取れば物足りなさを感じる向きもあるかもしれないが、22×2という視点込みのシーン数で考えれば、コンテンツ密度の高さは十分に納得できる。さらに回想部屋へはゲーム開始直後からアクセス可能という仕様は、目的のシーンへの到達障壁を徹底的に下げており、繰り返しのプレイにも配慮されている。スマートフォンという媒体の特性——隙間時間での短時間プレイ、断片的なセッションの積み重ね——を意識した設計と見ることもできる。

評価4.34点という数字が示すのは、このゲームが「おねショタが好きなら一定水準に満足できる」というレベルを明確に超えている事実だ。純愛・歳の差・男性受けといったジャンルタグが並ぶなかで逆転なしという設定は、主人公の立場を守り続けることで一貫した関係性の緊張感を保つ選択であり、こうした細部のジャンル理解がユーザー評価に積み上がっていると推測できる。

サークル「ねむみえぶりでー」が本作で示したのは、エロゲーにおける「視点」の再定義だ。見るだけでなく、乗り移る。知るだけでなく、感じる。それをスマートフォンという手軽なプラットフォームで実現したことは、今月の注目作として本誌が推薦するに値する理由として十分である。日常という舞台の奥深さを、ぜひ自分の指先で確かめてほしい。

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