今回本誌が取り上げるのは、サークル「ぬるはちぽんぽん」が手がけたスマートフォン向け成人向けRPG「ネトラレ発情エルフ妹剣士セリカ」である。639本という販売実績と、42件の評価から算出された4.36点という高スコアが示すとおり、本作はニッチなジャンルの中でも確かな支持を集めた一作だ。
本作の核心にあるのは、「呪い」という装置を物語の根幹に据えた構成の巧みさである。幼少期から二人きりで生き抜いてきたエルフの兄妹、エドとセリカ。互いに密かな恋慕を抱きながらも、それを押し殺して日々を重ねてきた二人が、ダンジョンの最深部で淫魔インキュバスに遭遇するところから物語は動き出す。インキュバスがセリカに刻み込む「常時発情の呪い」は、その場にいる男性に無条件に性的衝動を向けてしまうというものであり、最愛の妹が目の前で崩れていく様を強いられる兄エドの苦悩こそが、このゲームの感情的な背骨を形成している。
シナリオの構造として特筆すべきは、呪いが単なる性描写の口実に留まらず、キャラクターの人格そのものを侵食していく点にある。「嗜虐」「被虐」「甘えん坊」「姉」という四種の人格改変呪いが段階的にセリカを塗り替えていき、同一のHシーンであっても選択された人格によってセリカの反応が変化するという設計は、プレイヤーに多層的な体験を提供する。これはシナリオと性描写を切り離さず、両者を不可分な要素として扱う作り手の意志の表れだと編集部は見ている。
ゲームプレイの面では、ダンジョン探索を軸にしたシステムが採用されている。モンスターとの「バトルファック」による戦闘Hシーン、ダンジョン内に仕掛けられた多数の淫らな罠、そして金策として登場する売春宿システムという三本柱が、探索に密度を与えている。売春宿の描写は特に丁寧で、最初は戸惑いを見せたセリカが徐々に順応し、人気嬢へと変貌していく過程が段階的に描かれる。この「慣れと変容」の描き方に、本作の性描写に対する真摯な姿勢が垣間見える。
登場人物の設定についても触れておきたい。インキュバスは単なる障害としての悪役ではなく、兄妹をあえて自分の元へ誘い込むような不可解な行動を取るキャラクターとして描かれており、物語終盤に向けての謎を提示している。また妖艶な魔族サキュバスの存在が加わることで、兄妹を取り巻く淫らな状況は一層複雑な様相を呈する。これらのキャラクター設計は、単純な「ヒロインが堕ちる」という図式に留まらない物語の奥行きを生み出している。
スマートフォン向けに最適化されている点も本作の評価を押し上げた要因の一つだろう。スキマ時間でも快適に遊べるよう、最初から最高レベル・最強装備で始められる「最強モード」が用意されている点は、忙しい社会人層のプレイヤーへの配慮として機能している。探索の手間を省いてシナリオとHシーンに集中したいというニーズに応えた選択肢の提示は、ユーザビリティへの意識の高さを示している。
セリカというキャラクターの変遷に話を戻すならば、勝気で芯の強い冒険者として登場した彼女が、恥じらいの初々しさを経て、次第に場も相手も選ばず快楽を求める存在へと変貌していく軌跡は、快楽堕ちジャンルの王道を丁寧に踏みしめたものだ。兄エドの視点で描かれる「助けたい」という感情と、予期せぬ形で相思相愛が成就したことへの罪悪感が混在する複雑な心理描写も、ゲームとしての読後感に深みをもたらしている。
639本という数字は、スマートフォン向け成人向けゲームという市場において決して小さくはない。4.36点という評価スコアも、プレイした読者の多くが作品の完成度に対して正当な評価を下した結果であろう。本誌が今号で本作を取り上げたのは、この数字の背後にある「シナリオと性描写の有機的な結合」という完成度を広く知らしめたかったからに他ならない。ファンタジー世界を舞台にした近親×寝取られという挑発的な題材を、キャラクターの感情ドラマと真正面から向き合わせた本作は、同人エロゲームの表現の可能性を静かに、しかし着実に広げた一作として記憶に値する。
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