今回編集部が取り上げるのは、尿限界社カタルシステムが手がけたスマートフォン向け同人ゲーム「トイレット☆ラビリンス!」である。販売本数556本、評価スコア4.19点(26件)という数字は、このニッチなジャンルにおいて確かな支持を得ていることの証左だ。
本作のジャンルは「おもらし・放尿・おむつ・スカトロ」という、同人ゲーム市場の中でもとりわけ濃密なフェティシズムを正面から扱う作品である。しかし本誌が特筆したいのは、そういった嗜好性の強さだけではない。ゲームとしての設計の誠実さと、フェティッシュな体験をゲームメカニクスへと昇華させた構造の巧みさにある。
物語の骨格はシンプルだ。法律事務所に勤めるOL・黒井沙耶が、帰宅途中に尿意を我慢しきれず途中下車した駅で、奇妙なトイレの迷宮に迷い込んでしまう。喫茶店でお茶を飲みすぎたという、ごく日常的なシチュエーションから始まるこの導入は、プレイヤーを自然にゲームの世界へと引き込む力を持っている。非日常的なシチュエーションへの入口を、日常のワンシーンで飾るという手法は、ホラーゲームの文法にも通ずる。
ゲームシステムの核となるのは、「異変探し」と「尿意管理」という二つの柱だ。マップを移動するたびに時間が経過し、沙耶の尿意ゲージが上昇する。これが100に達すればゲームオーバー。8番〇口系のホラーゲームから着想を得たと思しき「異変のある通路か否かを見極めて進む」という判断ゲームと、リアルタイムに迫り来る尿意の圧力が組み合わさることで、単なる間違い探しには留まらない独自の緊張感が生まれている。
さらに巧みなのが、「トイレに入ること」自体がリスクとリワードを同時に持つという設計だ。異変のないトイレで用を足せば尿意は下がるが、ゲームが進行するにつれてトイレでの回復量が逓減していく。つまり、序盤から闇雲にトイレへ駆け込んでいると、後半に追い詰められる。どのタイミングで排泄を選択するかという「戦略的判断」が、プレイヤーに問われるわけだ。これはフェティッシュコンテンツとしての「我慢」の緊張感を、ゲーム的ルールとして見事に落とし込んだ設計と言える。
異変のあるトイレの描写も本作の見どころである。馬型のおまるが置かれた部屋、なぜか森の中に出てしまい切り株製の野外トイレしかない空間、床に巨大な紙おむつが敷かれた部屋——これらのシュールかつフェティッシュな情景は、恐怖というよりも「困惑と羞恥と諦め」の混在する独特の空気をまとっている。普通のトイレを目指すプレイと、あえて異変トイレで沙耶に用を足させるプレイの二軸を公式が提示しているあたり、制作サイドもこのゲームの楽しみ方を複数想定していることが伺える。
キャラクター面では、主人公の沙耶と、クリア後に解禁されるモードで登場する後輩の白崎愛華という二人のOLが核をなす。愛華はやや堅物で、少々奔放な先輩である沙耶に呆れつつも慕っているという関係性が設定されており、本編クリア後の「付き添いモード」「泥酔モード」での活躍が期待される。なお、CG収録は沙耶のみで愛華にはない点は、ファンにとって把握しておくべき情報だろう。
スマートフォン版として展開されている本作は、同人フェティッシュゲームのモバイル展開という観点からも注目に値する。PCでの同人ゲーム体験がスマホへと移行しつつある昨今、こうした作品がモバイル最適化されて提供されることは、ジャンル全体のアクセシビリティ向上という文脈でも意義深い。
本誌の総評としては、フェティッシュ系同人ゲームとしての完成度と、ゲームとしての遊びやすさのバランスが良く取れた一作である。評価4点台を維持しつつ500本超の販売実績は伊達ではなく、このジャンルを好むプレイヤーにとっては、手に取る価値のある作品と断言できる。「我慢」と「判断」と「羞恥」が絡み合う、唯一無二のゲーム体験がここにある。
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