今回編集部が取り上げるのは、サークル「73号坑道」が手がけたスマートフォン向け完全版タイトル「Lilitales -リリテイルズ-」である。販売本数2,321本、評価スコア4.76点(104件)という数字は、同人ゲーム市場においても一線を画す実績だ。女性視点の陵辱型ダンジョンRPGというニッチなジャンルでこれほどの評価を集めた背景には、単なるエロティシズムの提供にとどまらない、確かなゲームデザインの哲学が宿っている。
物語の幕開けは、王家封印の地・シャンドーラ遺跡への巡礼である。新米騎士として叙任を受けたばかりのルナリエは、幼馴染である第三王女ジルとともにその地へ赴くが、帰路に「最悪の災厄」に見舞われ、王女を奴隷交易都市に囚われた状態で物語が始まる。主人公が「救う側」として単身敵地へ乗り込むという構図は、同ジャンルにおいては珍しい設計だ。プレイヤーは被虐の当事者でありながら、常に目的を持った行動者として世界を歩む。この緊張感の二重構造こそが、本作を単純な陵辱ゲームと一線を画す存在にしている。
ゲームシステムの面では、固定エンカウント制による探索重視の設計が光る。レベル上げを排し、スキルや装備の選択・組み合わせに思考を集中させる戦闘設計は、プレイヤーに常に主体的な判断を求める。ダンジョンへの再入場で敵との再エンカウントも可能であり、周回性とシチュエーションの再体験をゲームプレイとして自然に組み込んでいる点は見事な設計と言えるだろう。さらに時間・日数経過システムが導入されており、王女ジルの救出に直接関与するタイムリミット的な緊迫感が全編に漂う。日を追うごとにジルが調教・尋問されていくという演出と機械的なゲームシステムが融合し、プレイヤーの焦燥感を巧みに煽る構造になっている。
街と拠点という自由度の高いハブエリアの導入も、本作の大きな特徴だ。奴隷市場都市という無法の空間に飛び込むルナリエの旅は、ダンジョン探索だけでなく、街中でも油断すれば奴隷商人やゴロツキたちに罠を仕掛けられるという緊張感を持続させる。常時表示のミニマップはスマートフォン操作との相性も考慮された機能であり、携帯端末でのプレイ体験の質向上に貢献している。
ビジュアル面では基本CG50枚以上、総差分500枚以上という圧倒的なボリュームを誇る。さらに本完全版には追加ディスク相当のコンテンツが統合されており、追加Hシーン・補完シーン・高難度EXボスなどが加わることで、基本CG15枚・総枚数約200枚の追加素材が全体に厚みを加えている。CG回想モードにはHシーン前の場面もリプレイ可能という丁寧な仕様が盛り込まれており、コレクター気質のプレイヤーにも応える作りだ。
声優陣も充実している。主人公ルナリエを紅月ことね、王女ジルを卯月杏奈、クレスを計名さや香、アイリを大山チロルが担当しており、フルボイスではないながらもキャラクターへの感情移入を支える演技が要所を彩る。同人ゲームにおいてキャスティングの質は没入感に直結するが、本作はその点においても妥協のない選択をしていることが評価数の多さからも裏付けられる。
シチュエーションのバリエーションも圧倒を通り越して体系的ですらある。陵辱・緊縛・異種姦・触手・売春・催眠・洗脳・悪堕ちといった王道から、戦闘中Hシーン・脱衣賭博・処女プレイルートといった個性的な分岐まで、プレイヤーの嗜好と物語の文脈を交差させながら丁寧に配置されている。これは量を詰め込んだのではなく、物語の流れとゲームプレイの構造の中に各シチュエーションを有機的に組み込もうとした設計意図の表れであり、編集部としてもその一貫性を高く評価したい。
4.76点という評価スコアは、104件という決して少なくないレビュー数に支えられた信頼性の高い数値だ。同人ゲームのレビューは往々にして少数の熱狂的支持に偏ることがあるが、本作はその数の厚みが証明するように、幅広いプレイヤーから安定した支持を集めている。今月の注目作として本誌が推薦する理由は数字だけではない。ゲームとしての骨格、物語の緊張感、ビジュアルの充実度、そしてスマートフォンという新たなプラットフォームへの丁寧な対応——それらが一体となって、このジャンルにおけるひとつの到達点を形成しているからこそ、読者諸氏に強く手に取るよう勧める次第である。
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