【スマホ版】DECOY 群青の魔女

Circle: すてねこLAB.Release: 2026/01/30
★ 4.74(35 reviews)Sales: 1,848

今回編集部が取り上げるのは、すてねこLAB.が手掛けたスマートフォン向け2DアクションRPG「DECOY 群青の魔女」である。販売本数1,848本、評価点4.74点(35件)という数字は、同ジャンルの同人タイトルとしても相当な水準だ。数字が示す以上に、この作品が口コミで広がってきた理由を、本誌はプレイを通じて実感することになった。

まず語るべきは、世界観の構築力である。「栄えていた文明は海に沈み、夜は明けない」という終末的な設定でありながら、島に暮らす人々は悲観的でも退廃的でもなく、慎ましくも生き生きと日々を送っている。この逆説的な牧歌性が、ゲーム全体に独特の余韻をもたらしている。重厚なディストピアを期待して入ると肩透かしを食らうかもしれないが、それこそが本作の語り口の巧みさだ。終末という舞台装置を暗鬱さのために使うのではなく、そこに生きる人間の温度を浮かび上がらせるために使っている。この設計は意図的であり、成熟した作家性を感じさせる。

ゲームシステムはサイドビュー型の2Dアクションで、街と遺跡を探索しながらアイテムや資金を集め、攻撃手段や移動能力を強化していく構造だ。遺跡内部には敵が配置されており、リスクとリターンのバランスが探索の緊張感を支えている。ゲームが進むにつれて高速移動やセーブポイント間の転送システムが解放されるという進行設計も丁寧で、スマートフォンというプラットフォームのプレイスタイルを意識した利便性が随所に感じられる。「ジャンク屋」「エステサロン」といった店舗の解放もゲーム進行と連動しており、単なるショップではなくストーリー上の意味を持つ空間として機能している点が秀逸だ。

エロティックコンテンツについても、その設計思想は注目に値する。本作のHシーンは、ADVによるCGタイプ、マップ上でのドット(小)タイプ、画面いっぱいに展開するドット(大)タイプという三層構造で用意されている。しかもドット絵は大小いずれも手描きのアニメーションである。この手間のかけ方は、同人ゲーム制作の工数を知る者ほど驚く。いずれのシーンも合意の上の和姦シチュエーションで統一されており、世界観の牧歌的な温度とエロスの方向性が一致している。暴力的な搾取的描写を排し、プレイヤーと島の住民たちとの関係を「交流」として描こうとする姿勢が一貫している。

ヒロイン陣の個性も本誌が推したい要素のひとつだ。メインヒロインである「魔女子さん」は無表情・無感情タイプという、今日の美少女ゲームでは定番化しつつあるキャラクター造形だが、本作における彼女の造形は「感情が薄い」ことを個性のみならず物語的機能として活用している。身体検査と称して精液を採取するという設定の奇妙さ、そして魔法的なメカニズムでその精液が島のどこからでも彼女の元に転送されるというシステム的・設定的な遊びは、荒唐無稽でありながら妙な論理的整合性があり、世界観の一部として機能している。このユーモアのバランスが、本作の信頼性を高めている一因だろう。

凄腕メカニックのモグラ、包容力あふれる市長さん、責め好きなエステのお姉さん、強気なくノ一と、ヒロインたちはそれぞれに設定と性格が噛み合っており、エッチシーンも「その人らしさ」が反映されている。同人ゲームにおいて、こうしたキャラクター別の文脈設計を丁寧に行えるサークルは、実はそれほど多くない。すてねこLAB.の制作姿勢の誠実さが、4.74という高評価に結実していると編集部は見ている。

声優陣の起用も的確だ。陽向葵ゅか、乙倉ゅい、涼貴涼、森野めぐむ、そらまめ。と、いずれも同人音声界隈で実績を持つ声優を揃えており、各キャラクターのパーソナリティとボイスの質感が見事に合致している。スマートフォンでのプレイという、比較的没入感の演出が難しい環境においても、ボイスの充実がゲーム体験の密度を保つ役割を果たしている。

終末世界を背景に、島の女性たちと親密な時間を積み重ねていく。本作はその構造のシンプルさと、細部の作り込みの豊かさが際立って噛み合った一作である。今月の注目作として本誌が自信を持って推薦できる理由は、単なるエロゲームとしての完成度だけでなく、ゲームそのものへの誠意が全編を貫いている点にある。すてねこLAB.というサークルの名は、同人ゲームシーンにおいて確かな信頼感とともに記憶されるべきだ。

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