今回編集部が取り上げるのは、ディーゼルマインが送り出したAndroid向け2Dアクション『魔導士カナデのふたなりダンジョンQuest』である。同人スマホゲームという土俵において、1,267本の販売数と4.62点(73件)という高水準の評価を叩き出した本作は、ジャンルの枠を超えた完成度で多くのプレイヤーを唸らせた一作だ。
物語の骨格はシンプルかつ力強い。魔物討伐の依頼を受けて遺跡へと赴いた魔導士カナデが、そこに待ち構えていたサキュバスに捕らえられ、ふたなりへと変えられてしまう。搾精トラップが待ち受けるダンジョンからの脱出を目指すというシナリオは、エロティックなゲームプレイを物語として必然的に組み込むための見事な設計である。シナリオを担当した疾筆堂の手腕は確かで、単なる「状況のコンテナ」として機能しがちなエロゲーのシナリオに、主人公カナデの葛藤と落堕の弧を自然に描き込んでいる。快楽に溺れて脱出を諦めるという「もう一つの結末」を示すことで、プレイヤーに選択の重みを突きつけてくる点も評価したい。
本誌がとりわけ注目したのは、ゲームデザインとエロティシズムの有機的な融合である。見下ろし視点の2Dアクションという基本構造に、媚薬ガスやオナホトラップといったギミックを組み込むことで、ゲームオーバーを「失敗」ではなく「別の体験への入口」として機能させることに成功している。ダメージや状態異常によってカナデの立ち絵が変化するシステムは、プレイの積み重ねが視覚的なフィードバックとして即座に返ってくる快感を生み出しており、スマートフォンという小さな画面でのプレイ体験を濃密なものにしている。
ドットアニメーションの水準については、特筆すべき点がある。20個以上を数えるアニメーションシーンは、各トラップの「個性」を丁寧に表現しており、ドットならではの節度ある抽象化が却って想像力を刺激する効果を生んでいる。原画を担当した頑張りマスカルポーネとLバッファによるイラストとの質感の差異が、ゲームの流れにメリハリをもたらしており、ドット絵のシーンとイラストのHシーンが互いを引き立て合う構造になっている。イラストによるHシーンは総数22個。サキュバス、スライム娘など多彩な魔物娘との絡みを含むそれらのシーンは、足コキ、手コキ、逆レ、レズといった多様なシチュエーションを網羅しており、フタナリというジャンルに強い関心を持つ層はもちろん、幅広い嗜好のプレイヤーにも響く陣容となっている。
声優陣の豪華さも本作の強みの一つだ。来夢ふらん、亜久城皐月、MOMOKA。、浅木式、森野めぐむ、そらまめ。、大山チロルという7名の声優が参加しており、各キャラクターへの息吹を与えている。スマホゲームの同人作品においてこれほど充実したキャスティングを実現していること自体、制作側の本気度を如実に示している。ボイスの有無がゲーム体験の深度に与える影響は無視できず、カナデの戸惑いと快楽の混濁、迫り来る魔物娘たちの誘惑といった感情の機微が、声によって一段階豊かになっている。
編集部がこの作品に感じた最大の魅力は、その「誠実さ」にある。同人エロゲーには往々にして「とにかく枚数を詰め込む」方針の作品も存在するが、本作はゲームとしての体験設計、シナリオの語り口、アニメーションとイラストの使い分け、そして声優の起用という各要素が、一貫したビジョンのもとで統合されている。73件という評価件数に対する4.62という高スコアは、プレイヤーが単に「期待したものを得た」以上の満足感を覚えた証左と読み解くことができる。Androidというプラットフォームを選択したことで、PCを持たないプレイヤー層にもリーチした点も戦略として冴えている。
ディーゼルマインという書き手の名前を、本誌は今後も追い続けるつもりでいる。この水準を維持し、あるいは更新するような作品が届いたとき、読者の皆さんと共にそれを味わえることを楽しみにしている。
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