【Android版】Android Abigail

Circle: エロエロ王国Release: 2011/12/19
★ 3.80(343 reviews)Sales: 1,106

今回編集部が取り上げるのは、エロエロ王国が手がけたスマートフォン専用タイトル「Android Abigail」である。1,000本を超える販売数と343件に及ぶ評価を集め、3.8点という堅実な支持を得た本作は、チラリズムという古典的かつ奥深いジャンルを、現代のスマホゲームという器に丁寧に落とし込んだ意欲作だ。

チラリズムというジャンルは、同人ゲームの世界においても一定の需要を誇る分野である。過激さで競い合う昨今の傾向とは一線を画し、「見えそうで見えない」というもどかしさと期待感の拮抗こそを快楽の本質と据えるこのジャンルは、ある種の様式美を持っている。本作はその様式に真剣に向き合い、プレイヤーの視線誘導と演出タイミングを丁寧に設計しているのが見て取れる。スマホという縦長の画面比率を活かしたレイアウトは、キャラクターの全身を自然に収めつつ、視線が集中する箇所への誘導を巧みに機能させている。

主人公格となるアビゲイルというキャラクターは、お姉さんというジャンルラベルが示す通り、落ち着いた色気と包容力を纏った造形がなされている。さらに巫女という要素が重なることで、神聖さと艶めかしさという相反する属性が同居し、キャラクターに独特の奥行きを生み出している。白と緋色を基調とした装束の隙間から覗く素肌の演出は、巫女という設定の持つ「清廉さ」を逆手に取ったもので、チラリズムの文法と非常に相性が良い。このキャラクター設計の妙こそ、本作が単なる刺激物に留まらない理由のひとつだと本誌は見ている。

スマートフォンネイティブの設計という点も見逃せない。PCゲームを前提に作られた作品をスマホへ移植する際に生じる操作感の違和感や画面の窮屈さは、同人ゲームにおいては珍しくない問題だが、本作はAndroid環境を最初から想定した設計思想が根底にある。タップ操作への最適化、片手でのプレイを意識したUI配置など、スマホユーザーが自然に遊べる工夫が全体に行き渡っているのは評価に値する。こうした基礎的な快適さが積み重なることで、プレイヤーはキャラクターとの対話に集中できる環境が生まれている。

343件という評価件数の多さは、それだけ多くのプレイヤーが能動的に感想を残したという事実の反映だ。3.8点という数字は、突出した絶賛でも落胆でもなく、一定以上の満足感を多数のプレイヤーに与えたことを示す指標として読み取れる。同人ゲームの評価傾向として、強い個性や尖った方向性を持つ作品は賛否が割れやすい。その意味で、本作がこれだけ安定した評価を保っているのは、クオリティの均整が取れている証拠とも言える。

萌えというジャンルタグもまた、本作を語る上で外せない要素だ。官能性一辺倒に傾くことなく、キャラクターへの愛着や親しみやすさを丁寧に育てる作りは、萌えという概念が本来持つ「愛でたい」という感情をきちんと刺激する。チラリズムの緊張感と、萌えの柔らかな温度感、そして巫女のミステリアスな雰囲気が一体となって機能しているとき、本作は単純なジャンル合算を超えた体験を提供している。

エロエロ王国というサークル名が持つ直球なイメージに反し、本作の作りは意外なほど繊細である。数値の積み重ねが示す通り、1,100本超の購入者たちはその繊細さを確かに受け取っている。チラリズムと萌えとお姉さん巫女というキーワードに少しでも惹かれる向きには、スマホゲームというフォーマットの可能性とともに、ぜひ手に取って確かめてほしい一作だと断言できる。

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