【Android版】テンプテーションコロシアム

Circle: ドライドリームRelease: 2022/08/24
★ 4.34(83 reviews)Sales: 504

今回編集部が取り上げるのは、サークル「ドライドリーム」が送り出したAndroid向けRPG「テンプテーションコロシアム」である。DLsiteにて504本の販売実績を誇り、83件の評価から算出された平均スコアは4.34点という、同ジャンルにおいても相当に高い水準を叩き出している。ツクールエンジンを用いたスマートフォン向け作品として、色仕掛け・逆レ・男性受けというニッチなジャンルを正面から攻略した本作は、本誌が注目してきた「こだわり系同人RPG」の系譜に確かに名を連ねる一作だ。

舞台となるのは、魔法と建築が発展した王国「マジティア」。その姫君が「真の強者を見極めたい」という野望のもとに開催したコロシアム大会が、物語の骨格をなしている。隣国クリミナから参戦する新米魔法使い・マルス・リオットは、腕試しと賞金という純粋な動機で大会へ踏み込むが、その道中に待ち受けるのは単なる武力勝負ではない。女性選手たちの色仕掛け、街を歩けば仕掛けられる誘惑イベント、精霊との交渉にも潜む罠——あらゆる局面で主人公の理性と体力が蝕まれていく構造が、本作最大の魅力である。

シナリオの設計として特筆すべきは、8日間というトーナメントの日程に沿って物語が進行する「時間軸管理型」の構成だ。1日ごとに必ず選手戦と精霊戦のイベントが用意されており、プレイヤーは日々積み重なる敗北フラグとステータス低下の連鎖を体感しながら先へと進む。さらに街の散策パートでは、お金を奪われたり貢がされたりといったサブイベントが挿入され、単調になりがちなRPGの道中に緊張感と羞恥感を絶えず注入し続ける。このテンポ管理の巧みさは、同人RPGの中でも一頭地を抜いている。

戦闘システムにも注目したい。今作で新たに導入された「バトルイラスト」システムは、ターン制戦闘の画面に一枚絵のイラストを大きく映し出し、敵がダメージを受けるとイラストが変化するという仕組みだ。戦闘に視覚的な物語性を持たせるこの試みは、従来のツクールRPGが苦手としていた「戦闘中の没入感」という課題に真正面から向き合った成果といえる。敵キャラがセリフを発しながら戦う演出も含め、戦闘そのものをコンテンツとして成立させようとする意欲が随所に感じられる。

CGボリュームについても、同人作品としては充実した水準を誇る。立ち絵CGは26キャラクター・基本50枚、イベントCGは基本62枚・差分込みで97枚、合計で差分を含めると147枚という規模だ。登場する女性キャラクターたちは個性豊かに描き分けられており、セリーナ姫の「表は清楚、裏は欲望の塊」という二面性や、5属性に対応した精霊たちの「可愛さのあまり奴隷にしようとする」という歪んだ愛情表現など、キャラクターの造形に物語上の必然性がしっかりと紐付いているのが好印象だ。また、大会の裏に隠された「真の目的」という伏線も張られており、ただのバッドエンド集に終わらないプロット的厚みが用意されている。

謎のお姉さんという存在も、本作のシナリオに深みを与えるキーキャラクターである。夢と現実を行き来しながらマルスに接触し続けるその人物は、コロシアムの裏側について何かを知っているらしき素振りを見せながら、勝ち進むほどに誘惑の強度を上げていく。この「隠し球」的なキャラクター配置は、単なる欲情コンテンツの積み重ねに終わらせず、「先を知りたい」という知的好奇心をプレイヤーに抱かせる仕掛けとして機能している。

バッドエンドのみで構成されるという大胆な設計方針は、同人ゲーム界においても一種の美学的立場表明である。勝利への希望を与えずに、あえて敗北と堕落のみで世界を構築する——それはプレイヤーに対して「あなたは負けるために来ている」という暗黙の合意を求める構造だ。本誌はこうした割り切りを高く評価したい。中途半端に「頑張れば勝てる」という建前を用意するよりも、徹底したコンセプト貫徹こそが同人作品の強みであり、「テンプテーションコロシアム」はその哲学に忠実である。

4.34という評価スコアと500本超の販売実績は、このコンセプトがユーザーに確かに届いた証左だ。ドライドリームがこの作品に込めた「サークル最大ボリューム」という自負は、数字の上でも、内容の密度においても裏切られていない。色仕掛けRPGというジャンルの本質に真剣に向き合い、それをスマートフォンというプラットフォームで丁寧に仕上げた本作は、このジャンルを愛するプレイヤーにとって手にとる価値のある一本であると、編集部は断言する。

Read Ci-en articles →
← Back to top

同人マガジン

当サイトは18歳以上を対象とした
同人作品レビューサイトです。
あなたは18歳以上ですか?