【Android版】獣耳乙女は裏切らない

Circle: AVANTGARDERelease: 2024/12/25
★ 4.68(63 reviews)Sales: 676

今回編集部が取り上げるのは、AVANTGARDEが手がけたAndroid向けファンタジーRPG「獣耳乙女は裏切らない」である。スマートフォン向け同人ゲームという土俵において、これほどの完成度と多層的なシナリオ設計を実現した作品は、そう多くない。本誌が常々注目してきた「物語の深度とエロスの密度が両立した作品」という基準に、本作は正面から応えている。

販売数676本、評価4.68点(63件)という数字は、同ジャンルのAndroid同人ゲームとしては堅実な支持を示している。評価件数が63件というのは決して少なくなく、それだけ実際にプレイした上で感想を残したユーザーが多いということだ。平均点の高さもさることながら、母数の厚みが作品の信頼性を物語っている。

本作の骨格を成すのは、「彼女をどう守るか」あるいは「守れないか」という二項対立の物語構造だ。男主人公とメインヒロイン二人が「スケベにあふれた共和国」を元に戻すという旅の目的は、一見コミカルな設定に見えるが、そこに純愛・寝取られ・孕ませ・屈辱という多様なエンディングを組み込むことで、プレイヤーの選択が物語の色を根底から塗り替える構成になっている。ハッピーエンド、NTRエンド、ハーレムエンドを含む全5種のエンド分岐は、周回プレイを前提とした設計であり、一周だけでは本作の全貌を語れないという奥行きを持つ。

Hシーンの演出面においても、本作は相当な力の入れようを見せている。40枚の基本CG(差分除く)に加え、アニメーション8種類がサブイベントに配置されており、メインストーリーの敗北・奉仕シーンとは別軸でサブイベントのHが豊富に用意されている。主人公視点での夜の街徘徊によるドット絵風俗Hと、ヒロイン視点でのセクハラ・売春・風俗勤務という二系統の探索コンテンツは、作品世界の「淫靡な共和国」という設定をプレイアブルな形で体験させる仕掛けになっている。世界観とシステムが乖離せず噛み合っている点は、同人RPGとしての設計センスの高さを示している。

ヒロイン全員フルボイスという仕様も、本作の存在感を底上げしている要因だ。メインストーリーのヒロインにボイスを当てるだけでなく、Hシーン全体にわたってフルボイス対応としているのは、スマートフォン向け同人ゲームとしては力のかかった仕様といえる。立ち絵の服装変更機能も搭載されており、キャラクターの視覚的バリエーションを確保しながら、ユーザーが好みの状態でキャラクターと向き合える設計だ。

本作がジャンルに「女王様/お姫様」と「純愛」を並列させている点は興味深い。エロスの方向性が一面的でなく、支配と献身、純粋な愛情とその崩壊が混在するのが本作の雰囲気であり、金髪・獣耳というビジュアル的な個性と相まって、他のファンタジーRPGとは異なる質感を生み出している。「裏切らない」というタイトルが指し示すものが何であるかは、プレイヤー自身がどのエンドに向かうかによって変わってくる。その問いかけの構造こそが、本作の最も洗練された側面だ。

エロステータスへの行動反映、処女プレイ対応、難易度設定、回想モードといったシステム周りの充実ぶりも見逃せない。バックログやメッセージスキップといった読み物的快適性も備えており、純粋にストーリーを追いたいプレイヤーにも、シーンコレクションを目的とするプレイヤーにも門戸を開いている。AVANTGARDEというサークルが、エロスだけでなくゲームとしての快適さにも意識を払っていることが、この作品のプレイフィールに確かに宿っている。

同人ゲームが氾濫する今日において、物語の選択肢とエロスの質が有機的に結びついた作品は本当に稀だ。「獣耳乙女は裏切らない」は、その稀少な一本として、本誌の棚に加えるに値する。

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