【Android版】はいてないRPG

Circle: Yellow GemRelease: 2022/11/02
★ 4.43(122 reviews)Sales: 810

今回編集部が取り上げるのは、Yellow Gemによるスマートフォン向け成人向けRPG「はいてないRPG」のAndroid版である。販売数810本、評価4.43点(122件)という数字は、同人ゲーム市場においても決して侮れない実績だ。本誌がこの作品に注目した理由は単純明快で、ゲームとしての完成度と、エロスの融合が極めて自然な形で成立しているという点に尽きる。

本作のコンセプトは「あの頃のRPG+エロ」という一言で語られる。開発者が掲げるこのフレーズは、一見すると軽薄なキャッチコピーに映るかもしれない。しかし実際にプレイを進めると、その言葉の裏側にある真摯な設計思想が伝わってくる。記憶を失った少年が目覚めた先は「ディハイーナ」と呼ばれる異世界——女性が一切下着を身につけないという独特の世界観が、ゲーム全体のトーンを決定づけている。奇抜な設定でありながら、それを荒唐無稽に終わらせず、「オーブ」と呼ばれる自然の力を巡る神話的な世界観と有機的に組み合わせている点が秀逸だ。悪魔の侵攻によって枯渇するオーブ、伝承の勇者として戦いに身を投じる主人公という王道的な骨格は、プレイヤーに安心感と没入感を同時に与える。

ゲームシステムについても、本誌は高く評価したい。サイドビューバトルの採用は、往年のコンシューマーRPGへの明確なオマージュであり、開発者が「RPGの美学」と称するこだわりが色濃く反映されている。単純に懐古趣味に寄り添うだけでなく、巨大ボスとの緊張感あるバトル、ギミックを備えたモンスター、アイテムの多様性、そして鍛冶屋によるアップグレードシステムと、現代の同人ゲームとして機能するだけの奥行きを持っている。特にバランス調整への言及が随所に見受けられる点は、単なる「エロゲー」として消費させようとする作品との決定的な差異である。RPGとしての文脈でプレイヤーを楽しませることへの執着が、評価点の高さに直結していると編集部は見る。

ドットグラフィックという表現選択も興味深い。現代のスマートフォン向けゲームにあって、あえてピクセルアートで世界を描くことは、単なるレトロ趣味ではなく、「あの頃のRPG」という体験を再現するための必然的な選択だと言える。ドット絵のキャラクターたちが「はいてない」世界を歩き回るというギャップは、プレイヤーの想像力を刺激する余白を生み出す。つるぺたなヒロインたちの造形はジャンルの嗜好に応えながらも、ラブラブ・あまあまというタグが示すとおり、ただの刺激的な記号として扱われるのではなく、主人公との関係性の中に温度を持った描写として機能している。

Android版としての提供形態についても触れておこう。PC向けに開発された作品がスマートフォンに移植されるケースは増えているが、ツクール系作品のモバイル移植は操作性の面で課題を抱えることが少なくない。その点、本作は基本的なRPGシステムを採用しているため、タッチ操作への適応ハードルが比較的低く、スマートフォン特有の隙間時間でのプレイとも相性がよい。こうした可搬性は、同人ゲームの新たな消費スタイルとして今後ますます重要度を増すだろう。

122件という評価件数は、このジャンルの同人作品としてはかなりの厚みを持つサンプル数だ。その上で4.43という高評価が維持されているという事実は、一時的な話題性ではなく、作品の持続的な質の高さを物語っている。「RPGが好きな方に遊んでもらいたい」という開発者の言葉は自己申告でありながら、評価の積み重ねによって証明されつつある。エロスを前景化しながらも、ゲームとしての骨格を妥協なく作り上げたYellow Gemの仕事は、成人向けゲームが持ちうる可能性の一つの形を示している。本誌が今号の特集でこの作品を選んだ理由が、ここにある。

Read Ci-en articles →
← Back to top

同人マガジン

当サイトは18歳以上を対象とした
同人作品レビューサイトです。
あなたは18歳以上ですか?