今回編集部が取り上げるのは、オクトピグが手がけたスマートフォン向け成人向けRPG「状態異常 =Abnormal Condition= ~淫紋/禁書/寄生蟲編~」である。販売本数958本、評価4.4点(60件)という数字は、このジャンルにおいて決して軽視できない支持を示しており、本誌が改めてその内容を深く掘り下げるに足る作品と判断した。
まず本作を語る上で欠かせないのが、その世界観の密度だ。「人類の大多数が突然魔法を使えるようになってしまった」という設定は、いわゆる魔法少女ものの文脈を借りながらも、社会秩序の崩壊というより重厚なテーマをその骨格に据えている。法整備が追いつかない混乱期、一族「一ノ瀬」が国家に代わって魔法の統治を担うという構図は、現実社会における権力と法律の機能不全をなぞったものであり、単なる色物設定にとどまらない。このような世界観の構築に腐心した跡が随所に見られ、それが作品全体に一種の重力をもたらしている。
ゲームシステムの核心にあるのは「状態異常」という名の転落構造である。選択肢のミスや戦闘での敗北が、主人公の状態を段階的に変質させていく。最大5段階にわたる堕落の過程は、プレイヤーが能動的に物語の方向性に関与できるという設計思想を体現しており、単にシーンをアンロックするだけの消費型作品とは一線を画す。40シーン以上に及ぶHシーンが全てBADENDへの導線として機能している点も、シナリオとシステムが乖離していない証左であろう。
戦闘設計に目を向けると、ボス戦のみに絞り込んだ構成が非常に潔い。通常の雑魚戦を省いたことで、プレイのテンポが損なわれることなく、ボスとの対峙が特別な緊張感を帯びる。さらに敵の攻撃属性を読み解き、装備を戦略的に組み替えるという戦術的思考が求められる設計は、アダルトゲームとしての外皮をまとってはいても、RPGとしての骨格がしっかりと立っていることを証明している。装備ガチャや不要装備の寄付システムといったインベントリ管理の工夫も、スマートフォンという操作環境に適したシンプルさに落とし込まれており、実用性が高い。
キャラクター描写においても本作は手を抜いていない。清楚な黒髪の女主人公が魔法少女として日常に根ざした学校生活を送りながら、淫紋・禁書・寄生蟲という異なる「状態異常」に侵されていく対比は、清潔感と背徳感の落差を最大化するための計算された演出である。はじめは抗おうとしながら徹底的に犯されていくという心理描写の段階的な変化こそが、このジャンルの読者が求める精神的快楽の核心に触れており、本作はそこを外していない。
スマートフォン向けに最適化された点も本誌として評価したい要素だ。マウスホイールによるログ遡り機能はPC版の操作感覚をモバイルに移植する際の課題をクリアしており、ゲーム進行のストレスを低減している。自販機による回復アイテムの購入というフレーバーにも日常との融合という世界観の徹底が見られ、細部への配慮が伝わってくる。
評価4.4点という数字の意味を今一度考えたい。60件という件数はニッチ市場において決して少なくはなく、その平均点が4点台後半に迫ることは、プレイした層から確かな満足を引き出している証拠である。ゲームとしての完成度、シナリオの構成力、そしてアダルトコンテンツとしての質、この三軸が一定水準以上で交差しているからこそ、この数値が生まれるのだという見方が妥当だろう。
本作が体現しているのは、世界観・システム・シナリオを三位一体で設計することで初めて生まれるゲームとしての説得力であり、その積み重ねがプレイヤーの支持として結実している。オクトピグというサークルの誠実な作り手としての姿勢を、本誌は高く評価する。
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