今回編集部が取り上げるのは、ごーるでんぽっとによるAndroid向けスマートフォンゲーム『えんこーど』である。販売数1,648本、評価4.72点(260件)という数字が示す通り、本作はリリース以降、同人スマホゲームという競合の激しい土俵においても確かな支持を獲得し続けている一作だ。
本作の構造を一言で表すならば、「積み重ねが快楽に変換されるシステムの妙」と言えるだろう。カレシへの誕生日プレゼントとして高価な財布をねだられているヒロイン・ねねなは、主人公に向かって軽やかな口調でこう持ちかける——「あーしのこと買っちゃわない?」。この一言から始まる関係性は、援助とエッチなお礼という単純明快な取引として幕を開けるが、ゲームとしての深みはその先にある。援助を積み重ねるごとにお礼の内容が段階的にエスカレートしていく設計は、プレイヤーに進捗と報酬の相関を肌で感じさせ、RPGとしての基本的な快感原則をエロティックなコンテキストにうまく落とし込んでいる。
キャラクター造形の面でも、本作は一定の完成度を誇る。ねねなというヒロインは、「物事をあまり深く考えず、快楽に正直で流されやすい性格」という設定を持ち、それがゲームプレイの文脈においても自然な説得力を生んでいる。ギャルというジャンル的記号を纏いながらも、彼女の台詞回しや立ち居振る舞いには造形の丁寧さが滲んでいる。スカートをめくるといったソフトな接触から始まり、ノーブラ・ノーパンといった衣装差分、さらにはアヘ顔に至るまで、段階的に解放されるコンテンツの密度は相当なものだ。差分ファイル総数700枚超という数字は、制作側の労働量を如実に示しており、プレイヤーの「もっと見たい」という欲求に対して真摯に応えようとする姿勢がうかがえる。
本誌がとりわけ注目したいのは、本作がスマートフォンというプラットフォームを選んだことの意味である。おさわり系のインタラクションは、マウス操作よりもタッチ操作との相性が格段に高い。スカートをめくる、おしりを触るといった行為がスマートフォンの画面上で指先から直接行えるという体験は、PC版とは根本的に異なる没入感を生む。ごーるでんぽっとがこのジャンルにおいてAndroid版の展開を選択した判断は、コンテンツと媒体の親和性という観点から見て、非常に理に適っている。
援交・売春というジャンル設定についても触れておく必要がある。本作はその描写において、過度にドラマティックな葛藤や重厚な物語を挟まない。ねねなは悩まず、迷わず、流される。その軽さこそが本作のトーンを決定しており、プレイヤーは重い感情的コストを支払うことなく、純粋にゲームメカニクスと官能的なビジュアルを楽しむことができる。この「軽さ」の設計は、同ジャンルの作品の中でも一つの方向性として完成されており、4.72という高評価の一因でもあると本誌は見ている。
1,648本という販売数は、同人スマホゲームという市場の規模を踏まえれば決して小さくない数字だ。260件の評価の中で4.72を維持しているという事実は、一部の熱狂的なファンによる下駄ではなく、幅広い購入者から概ね肯定的な反応を得ていることの証左である。「そこそこ」と制作者自身が謙遜して語るほどの差分枚数を実装し、段階的なシステム設計を丁寧に積み上げた本作の姿勢は、数字にきちんと反映されている。
同人ゲームの世界では、壮大な物語や精緻なシステムだけが傑作の条件ではない。限られたスコープの中でコンセプトを一点に絞り込み、そのコンセプトをできる限り高密度で実装する——本作はそうした「職人仕事」の美点を体現した一作だ。ごーるでんぽっとというサークルが本作で見せた、媒体・ジャンル・システムの三位一体の設計は、同人スマホゲームの作り手が参照すべき一つの手本として、長く記憶されることになるだろう。
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