今回編集部が取り上げるのは、サークル「7センチ」が手がけるスマートフォン向け成人向けRPG『異世界エレクト』のAndroid版である。同人ゲーム市場においてスマートフォン対応作品はまだ希少な存在であり、その中でも本作は502本という販売数を記録し、60件のレビューから算出された評価スコアは4.55点という高水準を維持している。数字だけ見ても、本作が一定の支持層に深く刺さった作品であることは明白だ。
本作の舞台は、タイトルが示すとおりの異世界ファンタジー。主人公はある日突然、謎の光に包まれて見知らぬ世界へと転移してしまう。元の世界に戻る手がかりを探しながら、同時に己のエロい妄想を現実のものとするべく、この異世界を旅していく——という出発点は、ジャンル読者にとっておなじみの構図でありながら、本作はその「おなじみ」をしっかりと丁寧に磨き上げてきた印象がある。
特筆すべきはヒロインの総数だ。20名という規模は、同人RPGとしては相当な水準である。しかも人間、エルフ、ドラゴンといった多様な種族がラインナップに並んでおり、プレイヤーの好みに応じた出会いがほぼ必ず用意されている設計になっている。編集部としては、こうした「バリエーションの豊かさ」を単なる数の多さとして見るのではなく、世界観の広がりを体感させるための演出として評価したい。異世界というファンタジー設定を活かした種族の多様性は、物語のスケール感と直結しており、プレイヤーに「この世界を旅している」という実感を与える効果がある。
ゲームエンジンにはRPGツクールが採用されており、この選択は本作の個性を語る上で重要なポイントだ。ツクール系作品は操作の直感性が高く、ジャンルに不慣れな層でもとっつきやすい反面、「ツクールらしさ」の枠を超えるかどうかが作品の評価を大きく左右する。本作の評価スコアが4点台半ばという高い水準を維持している事実は、エンジンの制約を超えた作り込みが随所に施されていることの証左といえるだろう。ジャンルタグに「ラブラブ/あまあま」が含まれている点も見逃せない。単にエロ要素を詰め込むだけでなく、ヒロインとの関係性に甘さや温かみを持たせる設計は、プレイ体験に情感をもたらす。作品の評価レビューが60件を超えていることからも、単発で遊び捨てられるのではなく、きちんと記憶に残る作品として受け取られていることが伝わってくる。
Android版という形式についても触れておかなければならない。PCという固定された環境ではなく、スマートフォンという「いつでもどこでも手の届くデバイス」に最適化されたこの作品は、プレイの隙間を埋める遊び方にも対応している。通勤中、就寝前、ちょっとした休憩時間——生活の中に溶け込む形で異世界の冒険と甘いひとときを楽しめるという体験の設計は、スマホゲームならではの強みであり、「7センチ」というサークルがそこをしっかりと意識して作品を届けていることが伝わってくる。
ファンタジー、魔法、そして多彩なヒロインたちとの甘い交流。本作はそのすべてをスマートフォンという身近なプラットフォームに凝縮させた、今月の注目作にふさわしい一本だ。502という販売数は、この市場における本作の存在感を静かに、しかし確かに物語っている。本誌が読者に強くおすすめしたい理由はそこにある——数字に裏付けられた満足度の高さと、異世界という広大なキャンバスを存分に使い切ったヒロイン群との出会い、この二軸が揃った作品は、決して多くはない。
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