今回本誌が取り上げるのは、サークル・Elzeeが手がけるローグライト探索RPG「TUNNEL ESCAPE」のAndroid版である。販売数3,047本、評価4.64点(269件)という数字が、本作の完成度を静かに、しかし雄弁に物語っている。
黙示録の世界。ゾンビで溢れかえった街。そこを一人で生き延びようとする少女ベアトリス——このシンプルかつ力強い設定が、本作の物語の幹をなしている。バイオ研究所に逃げ込んだ彼女が、ゾンビワクチンを求めて施設内を探索するという構図は、サバイバルホラーの王道を踏まえながら、ローグライトというゲームジャンルと有機的に結びついている。一度のプレイで語られる物語は毎回異なり、探索の結果次第でベアトリスが置かれる状況は大きく変わる。この「再現されない物語性」こそが、本作最大のゲームデザイン上の美点だ。
武器システムの充実ぶりも特筆すべき点である。ピストル、ショットガン、アサルトライフル、そしてグレネードランチャーと、銃器のバリエーションは多岐にわたる。これらを単なるダメージ量の比較で選ぶのではなく、スキルツリーとの組み合わせによって独自のビルドを構築する楽しさが、本作のプレイサイクルを支えている。経験値を積んでスキルポイントを振り分け、何百種類にも及ぶスキルの中から自分だけの戦闘スタイルを作り上げていく過程は、ローグライトジャンルが元来持つ「一回のプレイを丁寧に積み上げる」という快楽と見事に一致している。
エロティックコンテンツの設計にも、編集部は注目した。本作のアダルト要素は、ゲームプレイとの切り離せない文脈の中に組み込まれている点が重要だ。戦闘中に発生する「戦闘エロ」という形式は、単なるCGギャラリーへのご褒美型ではなく、探索と戦いの緊張感の延長線上にある体験として機能している。2Dアニメーションの質は高く、触手・異種・拘束といったジャンル的要素を、シナリオ的な必然性を持たせながら描いている。「耐えるか、受け入れるか」という選択の余地を残す演出は、プレイヤーをベアトリスという存在に深く関与させるための仕掛けとして機能しており、単純な消費コンテンツではない設計思想を感じさせる。
探索イベントの豊富さも、本作の長期的な魅力を担保している。研究所という閉じた空間は、謎と危険とエロトラップに満ちたダンジョンとして機能しており、一回のプレイで見られるイベントはごく一部にすぎない。弾薬やクラフト素材をかき集めながら先へ進む緊張感は、リソース管理の巧みさによって生まれている。物資が尽きれば即座に選択肢が狭まり、余裕があれば強気に攻略を進められるという、この動的なバランスが探索の密度を高めている。
さらに、いわゆる「エンドレスコンテンツ」の存在が本作の価値を底上げしている。メインストーリーをクリアした後も悪夢は続き、より強力な敵に挑む繰り返しプレイの場が用意されている。ローグライトというジャンルが持つ「終わらない遊び場」としての性質を、本作は最大限に活かしている。
Android端末という、スマートフォンというプラットフォームでここまで密度の高いコンテンツを実現していること自体、相当な開発労力を要するものだ。タッチスクリーン操作への対応は、PC版とは異なるUXを生み出しており、移動中や隙間時間にこの世界観に没入できる点は、スマホゲームならではの体験として評価できる。
4.64点という高評価は、決してフロックではない。ゲームとしての骨格の確かさ、エロコンテンツの質、そして繰り返し遊ばせる力——この三要素が揃った作品は、実のところそれほど多くない。「TUNNEL ESCAPE」は、同人アダルトゲームの可能性を真剣に考えるサークルが、誠実に作り上げた一本だと本誌は判断する。この完成度は、3,000本超の販売数が証明するまでもなく、プレイすれば一目瞭然だろう。
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