今月の注目作、締めくくりにご紹介したいのがNEKO WORKsによる『ネコぱらAfter ラ・ブレ・ファミーユ』だ。同人ゲーム界において「ネコぱら」シリーズが確立してきたブランド価値は改めて説明するまでもないが、本作はそのシリーズに新たな章を加える、ファンにとって見逃しがたい一本である。販売本数1万1千本超、レビュー評価4.83という驚異的な高評価は、長年このシリーズを愛し続けてきたコアなファンたちの熱量を映し出している。そのスコアが示す「満足度の高さ」は、本誌の編集者も実際にプレイして実感した。
本作の舞台は、パティシェ・水無月嘉祥が営むパティスリー「ラ・ソレイユ」。フランス店を閉じたベニエが、自身の役目を果たしたと感じ、愛猫のフレーズを嘉祥のもとに預ける場面から物語は始まる。嘉祥に密かな好意を抱くフレーズだが、彼の周りにはすでに6匹の恋ネコ先輩たちが存在しており、その状況に戸惑いを隠せない。そんなフレーズが、やがてもうひとりの秘められた想いを持つ時雨と心を通わせていく——二匹のネコ娘がそれぞれの恋心を「相手のために先に叶えさせてあげたい」と競い合う構図は、本シリーズならではの甘くてほろ苦いラブコメの真骨頂だ。
本作の真骨頂は、その丁寧に積み上げられた人間関係の描写にある。フレーズと時雨、二匹のキャラクターがそれぞれ異なる価値観と葛藤を抱えながら、ひとりの人間と距離を縮めていく過程は、単なる萌え要素の羅列ではなく、感情の機微をしっかりと描いたストーリーとして成立している。「兄妹の絆を大切にしたい」というフレーズの想いと、「ネコの幸せを何よりも優先したい」という時雨の信念——どちらも切なく美しく、読者の心に残るドラマが展開される。複数プレイ・乱交要素も含まれており、あまあまから濃密なシーンまで、多彩な楽しみ方が可能だ。
日本語ボイスに加え、英語・中国語テキストにも対応したグローバル仕様は、世界に広がる「ネコぱら」ファンベースへの誠実な姿勢を感じさせる。獣人ネコミミ、ラブコメ、甘々の関係性、そして複数ヒロインとの物語——これだけの要素が高い完成度で一本に収まっているならば、購入を迷う理由はほとんどない。ネコぱらシリーズ未経験の方にとっても、本作を入口に世界観へ飛び込んでほしいと思える、読者に届けたい珠玉の一作である。
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