今回編集部が取り上げるのは、サークル「傾世遊庵」による成人向け探索RPG「うつせみ村輪辱紀行」スマートフォン版だ。販売数3,010本、評価4.56点(70件)という数字が示すとおり、リリース後に着実な支持を積み重ねている本作は、ホラーテイストの世界観と凌辱・調教要素を組み合わせた意欲的な一作である。
物語の導入からして、その雰囲気づくりへのこだわりが際立っている。T大学考古学研究サークルの会長・天草果歩と副会長・星宮凛、このふたりの女子大生が廃村「うつせみ村」を訪れるというプロローグは、ジャンルの枠を意識した上で「物語として楽しませる」という姿勢が強く伝わってくる。いるはずのない村人たちが笑顔で迎えるという冒頭の不穏さ、拭えない違和感の積み重ね——本作が単なるシーン集に終わらず、物語としての重みを持とうとしていることがよくわかる。
本作の最大の構造的特徴は「プレイアブル選択型」という設計にある。プレイヤーはどちらのヒロインを操作するかを選び、異空間からの脱出を目指しながら、もう一方の仲間を救出するという緊張感のある展開を体験する。この二軸進行は、単純な一本道でも総当たり式でもなく、両ヒロインの置かれた状況を対比させながらドラマ性を積み上げるという、洗練された手法だ。スキップアイテム「黒い鍵」の使用が捕らわれた側の調教進行を引き起こすというゲームシステムの設計は、プレイヤーの選択に意味と代償を持たせる点で秀逸であり、シナリオとメカニクスが有機的に絡み合っている。
MAPに漂う「瘴気」と「穢れ値」の蓄積というシステムも、ゲームとしての緊張感を演出する上で効果的に機能している。ただ移動して謎を解くだけでなく、穢れが積み重なることで怨霊が引き寄せられるという仕組みは、探索そのものにリスクとテンションを与えている。各ステージの最深部に待ち受ける人外の存在との遭遇がひとつの到達点として機能しており、ステージクリア型の達成感とエロコンテンツの連動が自然なかたちで実現されている。
ふたりのヒロインのキャラクター造形も、本作の読み応えを支える要素だ。果歩は清楚で知的に見えて、実はオカルトへの熱量が突き抜けた天然キャラという対比が面白い。凛はクールでドライな常識人でありながら、切れ味鋭いツッコミキャラとして描かれている。このふたりの関係性は百合ジャンルの文脈でも楽しめるよう設計されており、ジャンルに「百合」が明示されていることからも、製作側の明確な意図が読み取れる。ナビゲーション役の謎めいた少女「カミナ」を加えた三者の構図が、物語に確かな深みを与えている。
ボイス面では御子柴泉、藤村莉央、秋野かえでという布陣が揃っており、基本CG30枚・差分込み総数157枚という規模は、3時間前後のプレイ時間に対して十分な密度を持っている。探索と謎解きを通じて廃村の正体が少しずつ明かされるマルチエンディング構成は、周回プレイへの動機づけとして機能しており、本誌としても単純に一周して終わりではない作り込みを高く評価している。ホラー表現を意図的に控えめに抑えつつ、廃村という舞台の不気味さと異空間の独特の空気感を丁寧に醸成している点は、幅広い層への間口を意識した判断として機能している。
70件という決して少なくない評価数で4.56という水準を維持しているのは、ゲームとしての設計力と成人向けコンテンツの両立に対する、プレイヤーたちの率直な審判だろう。廃村と記憶、そして逃げ場のない夜の物語——傾世遊庵が丁寧に積み上げたこの一作は、スマートフォンという媒体の可能性を着実に押し広げた力作として、本誌の記憶に刻まれる。
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