今回編集部が取り上げるのは、サークル「おもちだいふく」が手がけたAndroid向けスマートフォンゲーム、『色仕掛け学園~思春期男子誘惑作戦~』である。販売本数673本、評価点4.19点(98件)という数字が示すとおり、同人スマホゲームというニッチな市場においてしっかりと支持を獲得している注目の一作だ。
本作の舞台は、どこか懐かしさを感じさせる学園という日常空間である。転校してきた成績優秀な主人公が、その秀才ぶりを快く思わない女子たちから「誘惑作戦」を仕掛けられる——というシンプルながら巧みな設定が物語の骨格を形成している。仕掛けてくるのは同じクラスの涼香と春というふたりのヒロインであり、胸を押し当てる、パンチラを見せつけるといったチラリズムの妙を活かした行動で主人公の集中を削いでくる。この「勉強に集中できるか否か」という軽妙なゲーム的命題が、プレイヤーを自然と物語へ引き込む仕掛けになっている点は評価に値する。
編集部が特に着目したいのは、本作がメインストーリーとショートストーリーという二層構造を採用している点である。メインストーリーでは涼香と春の誘惑作戦が丁寧に描かれる一方、ショートストーリーでは成績一位の生意気な男子が女子に体育館へ呼び出されるエピソード、男女水泳部の勝負を軸にした青春群像劇、さらにはバーチャルゴーグルを使った奇抜なシチュエーションまで、バリエーション豊かな短編が収録されている。それぞれの話が独立したシナリオとして機能しており、単調になりがちな此種のゲームにおけるシナリオ密度の高さとして機能している。
ジャンルタグを見れば分かるとおり、本作は淫語・チラリズム・足コキ・パイズリといった多彩なシチュエーションを網羅している。重要なのは、性器描写や本番行為を含まないソフトエロティシズムの路線を貫いていることである。この制約のなかで官能性をいかに高めるか——その答えをおもちだいふくは「状況の積み重ね」と「言葉の力」に求めた。淫語ジャンルがタグに含まれている点からも、ビジュアルだけに頼らず、セリフや語りかけによって想像力を刺激するアプローチが採られていることが伺える。スマートフォンという画面サイズ・操作環境に合わせた、テキストと静止画の組み合わせによる演出は、移動中や就寝前という「ながら消費」の文化と親和性が高く、Android版として展開する意義もそこにあるといえよう。
ゲームシステムの面では、外見はRPGの体裁を取りつつも戦闘要素を排除し、ほぼ全編をイベントシーンで構成するという割り切りが功を奏している。同人ゲームにおいて戦闘バランスの調整は開発コストの大きな部分を占めるが、本作はその負担をシナリオとシチュエーションの充実へと転換した判断だ。RPGというフォーマットの「外枠」だけを借りることで、プレイヤーに「ゲームを遊んでいる」という感覚を与えつつ、実質的にはシナリオノベルとしての体験を提供するという設計は、スマートフォンユーザーの操作習慣とも噛み合っている。
評価98件で4.19点という数値は、決して誇張なく良作の証明である。同人スマホゲームは購入障壁が低い反面、評価を残すユーザーが少ない傾向があるなかで、これだけの件数が積み上がっていることは実際のプレイ体験の満足度を裏付けている。チラリズムや色仕掛けを中心に据えたソフトエロ路線を好む層にとって、本作は学園という馴染み深い舞台でヒロインとの距離感を丁寧に描いた、手堅く楽しめる一作として記憶に残るだろう。
日常に潜む背徳と甘さを、スマートフォンの画面越しに静かに味わう——その体験を本誌は確かに推薦する。
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