今回編集部が取り上げるのは、ダンボールマンションによるスマートフォン向け脱出型エロRPG「パニックパーティー」である。販売数1,659本、評価4.55点(245件)という数字は、同人スマホゲームの世界においては決して軽視できない実績だ。数多の競合作品が埋もれていくなかで、これだけの支持を集めているという事実は、本作が単なる「エロコンテンツの詰め合わせ」ではなく、ゲームとしての骨格をきちんと持ち合わせていることを示唆している。
本作の舞台設定は、巧みなメタフィクション構造を採用している。「いわくつきのえろゲーを遊んでいたら、ゲームの世界に吸い込まれてしまった」という導入は、古典的なゲーム内ゲームのトポスを踏まえつつ、エロトラップRPGという形式との相性が抜群だ。廃墟からの脱出というサバイバル構造を基盤に据えることで、プレイヤーは「先へ進みたい」という純粋なゲームプレイの欲求と、「トラップにかかってみたい」というエロコンテンツへの期待という二つの動機を同時に抱きながら画面に向き合うことになる。この双方向の引力こそが、本作を一本のゲームとして成立させている最大の骨子である。
キャラクター造形の面では、二人のヒロインが実に対照的に設計されている点が光る。CV泡沫 廻が演じる「いずゆ」は、ほんわかとした巨乳キャラクターであり、トラブルに動じない大らかな性格が全体のトーンを柔らかく包む。対してCV天知 遥が声を当てる「りん」は、ツンツンした口調の貧乳キャラクターでありながら、内面は乙女で、えっちなことには興味津々というギャップを持つ。この二人を交互に操作しながら廃墟を進んでいく構造は、単純に攻略対象が二人いるという以上の意味を持つ。プレイヤーは二人の反応の違いを楽しみながら、それぞれのキャラクターへの感情移入を深めていくことになる。声優陣の演技も評価の高さに貢献している要因の一つであることは間違いない。
本誌が特に注目したいのは、「感度上昇システム」の設計思想である。4つの部位それぞれに感度レベルが設定されており、レベルの上昇によってトラップへの反応が変化するという仕組みは、単なるステータス管理に留まらない。プレイを重ねるごとにキャラクターの身体が「育っていく」という感覚が生まれ、それがマルチエンディングへの分岐とも連動している。感度レベルが物語の行方を左右するという設計は、プレイヤーの選択と結果を有機的に結びつけ、周回プレイへの動機付けとしても機能する。エンディング分岐をただの「選択肢」ではなく「プレイスタイルの帰結」として提示している点は、同人ゲームにおけるシステム設計の好例として評価できる。
トラップのバリエーションについても触れておかなければならない。水鉄砲による刺激、LIVE配信という状況設定、口内で動くガム、狭い通路での接触など、各トラップは単調なパターンを避け、シチュエーションの多様性を意識して配置されている。特にLIVE配信のシナリオは、「見られている」という羞恥心を視聴者の視線というゲームメカニクスに昇華させており、状況そのものがエロコンテンツの演出として機能するという設計の巧みさを感じさせる。総アニメーション数40以上という物量も、こうしたシチュエーションの多様性を視覚的に支える基盤となっており、ほとんどのアニメーションに複数の差分が存在するという作り込みはサークルの誠実さの表れだ。
スマートフォン向け作品としての完成度という観点から見ると、ゲーム中を通じてアニメーションするキャラクターが表示され続けるという設計は、モバイルプレイにおける視覚的な満足感を常に担保している。通常時から罠にかかった時まで段階的に変化するアニメーションは、プレイ体験に連続性とリズムを与えており、単発のCGを見ているのではなく「生きているキャラクター」と対話しているような感覚をもたらす。このあたりの演出設計の丁寧さが、245件という相当数のレビューにおいて4.55という高い平均点を維持している理由の一端だと本誌は読む。
ダンボールマンションという名前は、どこかユーモラスな響きを持つサークル名だが、その作品が示す設計力と作り込みは至って真摯である。エロRPGというジャンルの文法を踏まえながら、システムとナラティブを有機的に絡ませ、二人のヒロインの個性を生かした体験を構築した「パニックパーティー」は、スマートフォンという新しい舞台で同人エロゲームの可能性を切り拓こうとする意欲作だ。ゲームとしての手応えとエロコンテンツの充実を両立させた本作は、この分野の読者であれば手を伸ばす価値が十分にある一本と断言できる。
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