【スマホ版】サイレントピル

サークル: サークル1号発売日: 2024/02/02
★ 4.53(64 件)販売数: 739
作品形式:スマホゲーム

今回編集部が取り上げるのは、サークル1号が手がけたスマホゲーム「サイレントピル」である。739本という販売実績と4.53点(64件)という高評価を誇る本作は、ツクール系エロゲームの中でも一頭地を抜く完成度を持ち、本誌編集部が今月の注目作として推薦するに足る一作だ。

まず本作の世界観から語るべきだろう。舞台は近未来の静丘市。未知の化石発掘調査という硬派なSF的導入から始まり、やがて街が正体不明の生命体に蹂躙されるというバイオホラー的展開へと雪崩れ込む構成は、同種のゲームの中でも洗練されている。主人公・岸本佐代子は静丘科学研究所に勤める研究員という設定であり、単なるヒロインではなく、職業的背景と内面的葛藤を併せ持つキャラクターとして描かれている点が秀逸だ。欲求不満、不妊という個人的な悩み、上司からのセクハラという社会的抑圧——これらが積み重なった女性が、極限状況の中でどう変容していくかという問いかけが、本作の主題の一つでもある。

ゲームシステムについても触れておきたい。本作が採用している「発情度・浮気度」という二軸のパラメータ管理は、単純なHP管理に留まらない複雑なプレイ体験を生み出している。性的経験を重ねることで数値が上昇し、100を超えると異常状態となりシーンやエンディング分岐に影響する仕組みは、プレイヤーの行動選択に常に緊張感をもたらす。さらに「避妊・妊娠・出産」という独立したシステムが組み込まれており、避妊ピルを使用するかどうかという判断が後続の展開を左右する。意図的に妊娠状態を維持することで生命体に襲われにくくなるという逆転の発想も面白い。戦闘においてもHPの残量によってセクハラ・侵害の段階が変化するという構造は、ステータス管理とシナリオ展開が密接に結びついた設計思想の賜物である。

CGのボリュームも特筆に値する。立ち絵1枚・イベントCG41枚というコンパクトな素材数でありながら、差分の数は200個以上に及ぶ。同人ゲームにおいて差分の充実度はリプレイ価値と直結するが、本作はその点で極めて誠実な作りをしていると言えよう。回想部屋の実装も含め、プレイヤーが自分のペースでコンテンツを享受できる配慮がなされている。

難易度設計も本誌が高く評価したいポイントだ。レベルアップが速く、アイテム入手も容易で、謎解き要素を排した探索中心の構成は、ライトユーザーを明確に意識したものである。シリアスなSF世界観と入門向けの難易度バランスというのは一見矛盾するように思えるが、本作においてはむしろ「世界観に没入しやすい間口の広さ」として機能している。6種のクリアエンディングに加え、10種の戦闘敗北エンドという充実したマルチエンディング構成も、リプレイを後押しする要因となっており、プレイ総量に対するコスパは高い。

エロゲームとしての内容は、異種姦・孕ませ・苗床・寝取られ・淫乱化といった濃厚なフェティシズムが凝縮されており、人妻というキャラクター属性と組み合わさることで背徳的な官能性が増している。こうした要素はジャンルの常道ではあるが、本作がそれを単なるお約束として消費させず、ストーリーの文脈と接続させている点に、サークル1号の作家性を感じる。

スマートフォンという媒体に最適化された本作は、場所を選ばず深夜に静かに楽しめる一作でもある。739本という販売数と高い評価点は、確かな満足度の証左であり、本作が同ジャンルにおけるひとつの基準点になりうることを示唆している。SFホラーの緊迫感と人妻という属性の妙、そして丁寧に積み上げられたゲームシステム——これだけの要素が一本に詰まっているとすれば、本誌読者にとって見逃す理由は少ないはずだ。

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