【スマホ版】悪の女幹部クエスト2 ~ヒーロー完全敗北~

サークル: M男紳士のにじかい発売日: 2023/11/24
★ 4.70(197 件)販売数: 2,987
作品形式:スマホゲーム

今回編集部が取り上げるのは、サークル「M男紳士のにじかい」が送り出す意欲作、スマートフォン向けバトルRPG「悪の女幹部クエスト2 ~ヒーロー完全敗北~」である。評価4.7点、197件という高水準の評価レートを誇り、販売数は2,987本に達する。同人ゲーム市場において、これほど安定した支持を集める作品には理由がある。本誌はその理由を、あらゆる角度から解き明かしてみたい。

まず本作のジャンル定義から整理しておこう。M男向け逆レイプRPGという、ニッチでありながら確固たる需要を持つ領域で、本作はきわめて純化された設計思想を貫いている。「逆転なし」というキーワードが示すとおり、プレイヤーキャラクターであるヒーロー・リュウジンダーZ3は、基本的に敗北へと誘われていく運命にある。これは通常のRPGが提供する「強くなって勝利する」という快感とは真逆のベクトルだ。しかしそこにこそ、本作の本質がある。M男という属性を持つプレイヤーが真に求めるのは、制御された敗北体験であり、その敗北を演出するキャラクターたちとの濃密な絡み合いである。本作はその設計を一切ぶれさせることなく、全編を通じて徹底している。

ストーリーの骨格も秀逸だ。連絡が途絶えた仲間を探すヒーローZ3という出発点は、王道の特撮ヒーロー物の文法に則っている。そこへ「色仕掛けで多数のヒーローを壊滅させてきた凶悪組織」という設定が重なることで、物語の緊張感と背徳感が同時に成立する。Z3は戦いに赴くが、カルゴス団の本当の恐ろしさをまだ知らない。この構図は、読者の側に「どうせ堕ちる」という予感を与えながらも、その堕ち方への期待を最大化させる古典的な快感設計だ。同人ゲームにおいてストーリーはしばしば軽視されがちだが、本作のシナリオ設計はジャンルの制約をむしろ武器に変えている点で評価に値する。

登場する女幹部陣が個性豊かなのも本作の大きな強みだ。妖魔軍人コルダは冷徹なサディズムと妖艶な肉体を併せ持つ支配者型であり、色欲の女王バニー・バニーは「ムチムチのお尻で繰り出すラビットヒッププレス」という技名のセンスからして際立っている。クレイジードクター・シックスは科学者という設定を色仕掛けに活用するマッドな魅力を持ち、小悪魔女王エザはその华奢な外見と冷酷な内面のギャップが強烈なインパクトを残す。総勢20キャラ以上という規模は、同人RPGとしては相当な充実度であり、キャラクターごとのシーンを求めてプレイを続けるモチベーションを強く支えている。基本CGが100枚以上というボリュームもこれを裏付けている。

ゲームシステム面では、タイムバックシステムの存在が特筆に値する。敗北シーンを観てもゲームオーバーにならないというこの仕組みは、成人向けRPGが抱える根本的な矛盾、すなわち「見たいシーンのために敗北する必要があるが、敗北するとゲームが終わる」というジレンマを巧みに解消している。変身を解いてザコ敵に負けられるという選択肢も含め、プレイヤーが自らのペースでシーンを回収できる設計は、快適なプレイ体験と成人向け要素の両立という観点から高く評価できる。クリア後の回想部屋全開放も親切な仕様であり、マルチエンドおよび隠しエンドの存在がリプレイ性を高めている。

スマートフォンという形式を選んだ点も、戦略として興味深い。成人向けゲームのスマホ対応は技術的なハードルが高く、対応しているサークルはまだ多くない。隙間時間にプレイできる利便性は、ライトユーザーの取り込みや既存ファンの満足度向上に直結する。販売数約3,000本という数字には、こうした形式的な間口の広さも貢献しているはずだ。

本誌が本作をこの特集で推薦する理由は、単にエロティシズムの質の高さにとどまらない。M男向け逆転なしRPGというジャンルに対して、設計・キャラクター・システム・ボリュームのすべてが一本の軸を向いている。同人ゲームには往々にして「方向性の迷い」が顔を出すものだが、本作にそれはない。サークルの確信と誠実さが、あの4.7点という評価を生んだのだと、本誌は確信している。

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