【スマホ版】大金欲しいギャル

サークル: 7センチ発売日: 2023/10/31
★ 4.48(113 件)販売数: 1,166
作品形式:スマホゲーム

今回編集部が取り上げるのは、サークル・7センチが放つスマホ向け美少女ゲーム「大金欲しいギャル」である。販売数1,166本、評価点4.48点(113件)という数字が示すとおり、同ジャンルの新着作品の中でも群を抜いた支持を集めた一作だ。コメディとエロスを巧みに絡め合わせたこの作品、本誌としても見過ごせない完成度を備えている。

まず語るべきは、主人公「ヒナ」というキャラクターの造形の妙である。「ノリで生きている」という短い人物紹介が、彼女の本質をこれ以上なく端的に言い表している。深い思慮も長期的な計画も持たない。あるのはただ「一億円欲しい」という突発的な欲望と、それを絶対に達成するという奇妙な意志力だ。この矛盾した性格が、作品全体を貫くコメディのエンジンとして機能している。目標だけは一人前に壮大で、手段はひどく行き当たりばりな——そのギャップがヒナというキャラクターを愛さずにいられない存在に仕上げている。

ゲームとしての構造も興味深い。「善行、悪行、花売り……手段は問わない」という一文が象徴するように、本作はヒナが様々な選択肢の中から行動を選び取る自由度の高い設計を採用している。一億円という途方もない目標に向けて、何をするかはプレイヤーの裁量に委ねられる部分が大きく、そのたびにヒナ特有のリアクションが炸裂する。コメディというジャンル表記は伊達ではなく、各シチュエーションにきちんと笑いと色気の両方が詰め込まれている点が、高評価の要因のひとつだろう。

女主人公・女性視点というジャンルは、昨今の同人ゲーム市場において確かな需要層を形成しつつある。本誌でもこの傾向は以前から注目しており、プレイヤーが主人公の内面に没入しやすい視点設計が、エロコメディというジャンルにおいて特別な効果を発揮することは繰り返し実証されてきた。本作はその流れを正統に受け継ぎながら、ギャルという記号的かつ個性的なキャラクター属性を掛け合わせることで、独自のポジションを確立している。

エロティックなコンテンツの面では、巨乳・爆乳、中出し、和姦といったタグが並ぶ。これらは単に羅列されたフェティッシュではなく、ヒナの行動選択とそれに伴う結末として物語の流れの中に有機的に配置されている。コメディの笑いが下地にあるぶん、各シーンへの移行がナチュラルで、唐突な印象を与えない。「合意なし」というタグも含まれるが、ヒナというキャラクターの図太さとコメディ的な文脈の中で描かれることで、作品全体のトーンから大きく逸脱することなく処理されている。この匙加減は制作者のセンスが問われるところであり、7センチはそれを及第点以上の水準でクリアしていると判断できる。

スマホゲームという形式も、本作の魅力を考えるうえで外せない要素だ。タップ操作に最適化されたUI、隙間時間に気軽に起動できるテンポ感は、コメディという作風との相性が良い。じっくりと腰を据えて楽しむ大作RPGとは異なり、ちょっとした息抜きとしてヒナの珍道中に付き合えるライトさが、幅広いユーザー層からの支持につながったと見るのが妥当だろう。評価件数113件というのは同人スマホゲームとしては決して少なくない数であり、それだけのユーザーが感想を残す気になった——つまり強い印象を持って作品を終えたということの証左でもある。

評価点4.48という数字が物語るのは、「期待以上」と感じたプレイヤーが相当数いたということだ。同人ゲームの評価において4点台後半は容易には到達できない領域であり、コンテンツの内容だけでなく、テキストのテンポ、演出の質、全体のボリューム感、そういった総合的な完成度が高水準で揃っていなければ実現しない数値である。「大金欲しいギャル」はその意味で、作り手の実力を堂々と示した作品だと言える。

荒削りなのに愛嬌がある、軽薄そうで芯がある——ヒナというキャラクターの持つ魅力はそのまま作品そのものの魅力に重なっている。今月の注目作として本誌がこの一本を選んだのは、数字の確かさと内容の面白さ、その両輪が揃った稀有な作品だからに他ならない。7センチというサークルの名前は、今後も覚えておいて損はないだろう。

Ci-en サークル記事を読む →
← トップに戻る

同人マガジン

当サイトは18歳以上を対象とした
同人作品レビューサイトです。
あなたは18歳以上ですか?