【スマホ版】ハブられRPG~僕だけセックスできない旅~

サークル: グラス発売日: 2024/05/03
★ 4.19(57 件)販売数: 741
作品形式:スマホゲーム

今回編集部が取り上げるのは、サークル・グラスが手がけるスマートフォン向け短編NTR・BSSのRPG作品、「ハブられRPG~僕だけセックスできない旅~」である。741本という販売実績と、57件の評価から算出された4.19点という高スコアが、本作の完成度を雄弁に物語っている。

本作の骨格をなすのは、異世界召喚という王道フォーマットと、「覗き見」という歪んだ視点の組み合わせだ。主人公・始は突然異世界に召喚された四人の幼馴染のうちの一人であり、与えられた能力はパーティメンバーのステータスを閲覧できる「アナライズ」のみ。戦闘力も魔法も持たない彼が持つのは、仲間たちの内面をデータとして覗き見する力だけである。この設定が本作の全体的な構造を決定づけている。

NTR・BSS作品において重要なのは「情報の非対称性」をいかに演出するかという点だが、本作はこれをゲームシステムの内側に埋め込んでいる点が秀逸だ。主人公は仲間のステータスが変化していくことに気づく。数値の変動、能力値の推移、そこに刻まれた「痕跡」を読み解くことで、彼の知らぬところで何が起きているのかをプレイヤーだけが察知できる構造になっている。直接的な描写ではなく、データという間接的な記号を通じて事態を推察させる——この情報設計の巧みさは、本誌が高く評価するポイントである。

具体的なイベントシーンは、ゲーム本編中には登場しない。プレイヤーは本編を通じて「何かが起きた」という事実を認識しながら、その詳細を回想ルームで初めて目にすることになる。この構成は、想像と現実の落差を最大化するための意図的な演出であり、短編RPGというフォーマットの制約をむしろ長所に転化している好例だ。短時間でプレイできるボリュームでありながら、体験の密度が高く保たれているのは、この二段構えの情報開示システムによるところが大きい。

キャラクター面では、三人の幼馴染という設定が効果的に機能している。彼女たちとの間に積み重ねてきた関係性と信頼——その全てがステータスという数値の変化によって静かに崩れていく様は、NTR・BSS作品における「喪失感」の演出として完成度が高い。本作がジャンルファンから支持を集めているのは、このような感情的な構造設計の丁寧さに起因しているだろう。

ビジュアル面については、基本CG23枚という数字が示す通り、短編作品として凝縮されたビジュアルで構成されている。巨乳・爆乳、パイズリ、フェラチオ、中出しといったシチュエーションが、幼馴染キャラクターの属性と掛け合わさることで、プレイヤーにとって既知の存在が「変容していく」過程を視覚的に確認できる設計となっている。また、作中の一部イベント構図の参考にAIイラストが活用されていることが明記されており、こうした制作側の透明性も制作姿勢の誠実さとして評価できる。

イベント全開放スイッチが実装されている点も見逃せない。回想ルームへのアクセスと合わせ、プレイヤーが自分のペースでコンテンツを消化できる設計になっており、スマートフォンという端末の使用環境にも配慮が感じられる。隙間時間に少しずつ進めながら、都度ステータスの変化を確認し、回想で答え合わせをするというサイクルは、スマホゲームとしての親和性が高い。

短編という制約の中で、システム、シナリオ、演出の三要素が有機的に噛み合った作品として、本作は同人ゲームの設計思想を考えるうえでも興味深い一本だ。4点台という評価は伊達ではなく、ジャンルの文脈を踏まえた上で誠実に作られた作品がプレイヤーに届いている証左と言えるだろう。グラスという名を、本誌はしっかりと記憶にとどめておきたい。

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