今回編集部が取り上げるのは、ぱぴービスケットによるスマホ向け作品「独裁王のエロ命令」だ。645本という販売数と4.29点(31件評価)という数字が示す通り、ファンタジー羞恥系の同人ゲームとして着実に支持を獲得している一作である。
本作の着眼点は、実にシンプルかつ鮮烈だ。プレイヤーは一国の王という絶対的な地位にありながら、妃に頭の上がらない凡庸な日常を生きている。その閉塞感を打破すべく、王は秘密裏に「エロ御布令」を発令するという奇策に出る。この設定の妙は、権力という題材を羞恥・屈辱・露出といったジャンルの快楽原則と過不足なく接続している点にある。権力の行使がそのままエロティシズムの構造と一致しており、物語の動機とゲームの目的が一本の線でつながっている。これは意外と難しいことであり、構成力の確かさが光る。
攻略キャラクターは9名。町娘3人、人妻、兵士2人、兵長、魔導士、そして義理の娘にあたる姫、というラインナップは、ファンタジー世界の階層と職業的多様性を丁寧に押さえた布陣といえる。単に属性の違いで差別化するのではなく、それぞれが「御布令」に対して異なる反応を見せるであろうことが容易に想像でき、プレイヤーの探索欲を自然に刺激する設計になっている。
発令できる御布令は4種類。「女はみな裸になれ」「王の前でオ◯ニーせよ」「女狩りだ!隠れろ」「女狩りだ!逃げろ」という四つのコマンドは、受動と能動、服従と逃走という対照的な快楽軸を網羅している。これらの命令がキャラクターごとに異なる展開を引き起こす構造になっており、バリエーションの豊かさがリプレイ性を生んでいる。戦闘やアイテムといった複雑なシステムをあえて排除し、御布令の発令とその結果だけに特化した設計は、スマートフォンというプラットフォームへの適応として非常に理にかなっている。片手操作・隙間時間での消費を前提とするモバイルゲームにおいて、操作の簡潔さは体験の質に直結するからだ。
CGの規模についても触れておきたい。基本CG9枚に対して総CG枚数は172枚に上る。この比率が示すのは、差分の充実ぶりだ。表情・状況・衣装の変化によって1シーンが多層的に展開されると推察でき、それが実質的なボリューム感とプレイヤーの満足度を支えている。同人ゲームにおいてCG総数の水増しは散見されるが、4点台前半の評価を維持していることを鑑みれば、差分の質・量ともに及第点以上であると判断してよいだろう。
さらに、国の統治度を100まで引き上げることで解放される特別イベントの存在も、プレイに方向性を与えている。数値管理という軽いゲーム性の要素が、コレクション欲と達成感を刺激し、単なる閲覧ツールとしてではなく「ゲームとして遊ぶ」動機を持続させる仕掛けになっている点は評価に値する。
ぱぴービスケットという作り手は、この作品を通じて、ファンタジー世界の権力構造と羞恥・露出・巨乳といった直球のジャンル需要を過剰な説明なく融合させることに成功している。物語的文脈の薄さを欠点と見る向きもあろうが、本誌としては、これを「余計なノイズを排した純度の高さ」と読む。スマートフォン向け同人ゲームが市場として成熟しつつある今、シンプルさと密度のバランスをどこに置くかがサークルの個性を決定づける。本作はその答えを、質実な一本として提示している。
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