今回編集部が取り上げるのは、サークル「ぬるはちぽんぽん」が手がけたスマホ向けファンタジーRPG「姫騎士フランソワ~高貴な騎士は決して屈しない~」である。販売数646本、評価3.93点(40件)という数字は、このジャンルの激戦区においても決して見過ごせない水準だ。スマホプラットフォームという間口の広さも相まって、幅広い層に届いている一作と言えるだろう。
本作の核心は、徹底して練り込まれた主人公・フランソワの設定にある。魔王に故郷の村を焼かれ、愛する母を奪われた彼女が復讐を胸に剣を握る——この導入は、ありふれたようでいて、プレイヤーを物語に引き込む強度を持っている。王国の将来を担うと期待される高潔な騎士が、その高貴さゆえに翻弄され、屈辱にまみれていくというギャップの落差が、本作の根幹をなすドラマの燃料だ。フランソワが「エッチなことにとことん鈍い生娘」として描かれている点も巧みである。純粋さと無知が組み合わさることで、戦闘中に催眠をかけられてもそれを「攻撃」と思い込んでしまうというシチュエーションが成立する。悲壮な復讐劇と滑稽ですらあるシチュエーションの落差——この緊張と弛緩のリズムが、RPGとしての進行に独特の読後感を与えている。
シナリオ設計に目を向けると、戦闘と羞恥・拘束シーンが有機的に絡み合う構造が際立つ。ゴブリンの巣穴に連行される展開、触手による戦闘中拘束、催眠状態での路上乱交など、各シーンは「戦闘の延長線上に生まれる屈辱」という文脈で丁寧に位置づけられている。単なるイベントCGの羅列に陥らず、ゲームプレイの流れのなかで必然性を持たせようとするサークルの姿勢が読み取れる。敵キャラクターの種類の多さ、そしてシチュエーションの多彩さをこだわりポイントとして掲げていることからも、その意識は明確だ。
声優・鳴森りいあの起用も本作の評価を底上げする要因として外せない。高貴さと脆さを同居させた騎士という難しいキャラクターを、演技の幅で支えている。感情の起伏が激しいシナリオだからこそ、声の力がCG一枚の訴求力をさらに引き上げる。本誌がこうした作品を取り上げる際、ボイスの質は評価の重要な軸となるが、本作はその点でユーザーの期待に応えていると言っていい。
ゲームデザインの面では、クリア後に解放される「回想部屋」の存在が象徴的だ。全シーンを網羅的に閲覧できるこの仕組みは、周回プレイやシーン収集を前提とした設計思想の表れである。加えて、ストーリーを素早く進めたいプレイヤー向けにチートアイテムが用意されている点も、間口の広さへの配慮として評価できる。「RPGとしての物語を楽しみたい層」と「シーンを効率的に回収したい層」、双方に対応しようとするバランス感覚は、スマホゲームというプラットフォームの特性を意識したものだろう。
評価3.93という数字が示すのは、一定のクオリティに対するユーザーの正直な反応だ。40件という件数はこのジャンルでは決して少なくなく、継続的に支持が集まっている証左である。姫騎士という題材は同人ゲーム界において定番中の定番だが、本作はキャラクターへの感情移入を促す物語基盤と、スマホ環境への最適化という二軸で差別化を図っており、その試みはおおむね成功していると見てよい。ファンタジーと羞恥・拘束の組み合わせを求める読者であれば、このフランソワという騎士の旅路は十分に見応えのある体験を提供してくれるはずだ。
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