【スマホ版】Succubus&Magic

サークル: たにし発売日: 2025/01/15
★ 4.46(144 件)販売数: 2,747
作品形式:スマホゲーム

今回本誌が取り上げるのは、サークル「たにし」が手がけたスマートフォン向けRPG「Succubus&Magic」である。DLsiteにおいて2,747本という販売実績を誇り、144件の評価から算出された4.46点という高スコアは、同ジャンルの作品群の中でも群を抜いた支持率を示している。「逆転なし」「色仕掛け」「SM」という三つのジャンルタグが端的に示す通り、本作は主人公が勝利することを一切想定していない、純粋なM男向け敗北体験の結晶だ。

まず本作の最大の特徴として語るべきは、その世界観の構築力である。舞台となるのは、かつて敵対していた勇者と魔王が和解し、人間とモンスターが数千年にわたって共存してきた未来世界だ。名門校「聖杯教学園」の風紀委員という真面目な立場の主人公が、推薦された同級生ヴィクトリアの上司就任に反発し、生徒指導数で雌雄を決するというドラマの発端は、一見オーソドックスな学園モノの文法を踏んでいる。しかしその先に待ち受けるのは逆転劇でも成長譚でもなく、徹底的かつ丁寧に設計された「敗北の物語」である。この逆説的な構造こそが、本作を単なる成人向けゲームの枠を超えた、ひとつの読み物として成立させている根拠だと編集部は見ている。

登場キャラクターの設計も秀逸だ。後輩魔法使いのアリスは、禁忌の術に手を染めた末に悪に染まった少女という背景を持ち、その「屈服」をテーマとした敗北後のルートは「力への服従」と「誘惑への敗北」という二軸で展開される。前者では金銭の搾取や理不尽な契約書へのサインといったイジメの構図が描かれ、後者では性的な依存関係が主人公を蝕んでいく。この二つのルートは単に性癖の違いに応答するだけでなく、「どのように主人公の尊厳が失われていくか」というプロセスの多様性を描いており、キャラクターへの没入感を高める構造になっている。

もうひとりの主要キャラクター、ハナビは本作の中でもとりわけ異彩を放つ存在だ。世界最高峰の大魔法使い継承者に選ばれた天才少女でありながら、プレイヤーを縮小化してしまうという「物理的な力の差」を視覚的に演出する技システムが設けられている。彼女のルートは「S性の覚醒」によるオモチャ扱いと、「母性の目覚め」による歪んだ庇護という対照的な二展開を持つ。特に後者、圧倒的に格上の年下キャラクターに子ども扱いされるという構図は、従来のM男向け作品では希少な切り口であり、本誌が注目する理由のひとつでもある。

ゲームシステムの面でも、サークル「たにし」の本気度は随所に見て取れる。貯めたゲージ量によって敗北後のストーリーが分岐するゲージシステムは、プレイヤーに「どの深さまで落ちるか」という選択の幅を与える。また、「縮小化」や「ふたなり」といった各キャラクター固有の要素を、戦闘中に別のキャラクターに付与できる技システムは、組み合わせによる多様な体験を生み出す。この設計は、支援者からのリクエストを真剣に受け止め、マイナーな性癖にも一切の妥協なく応えるという制作姿勢の表れであり、同時に苦手な性癖シーンを回避できる配慮も施されている点が、幅広いユーザーからの評価に繋がっているのだろう。

基本CG数70枚超、総シーン数200枚以上、全イベントフルボイスという仕様は、スマートフォンゲームというフォーマットにおいて相当な充実度である。一般的なスマホ向け成人ゲームがPC版の劣化版として扱われがちな市場において、これだけのボリュームと品質を維持することは容易ではない。声優陣によるフルボイスの熱演が、キャラクターの高圧的な言動や屈辱的なセリフに説得力を与え、没入感を大きく底上げしている。

2,747本という販売数は、この種のニッチな嗜好に特化した作品としては十分に高い数字だ。4.46という評価点も、単なる話題性ではなく、実際に触れたユーザーが作品の完成度を認めた結果であることを示している。「逆転なし」というタグが示す潔い一貫性、そしてその方向性を徹底して突き詰めた作り込みの深さ。本作は、特定の嗜好に対して誠実に向き合い続けた作り手の姿勢が、数字という形で報われた一例として、今後の同人ゲーム市場における一つの指標になり得る作品だと本誌は断じる。

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