今回編集部が取り上げるのは、サークル・もふもふ愛好会が約6年の歳月を費やして完成させた渾身のRPG『世間知らずの猫エルーシャ』だ。獣人族の少女エルーシャが、家族を作るために初めて森の外へ踏み出し、獣人に人権のない過酷な世界を冒険する——その設定だけでも惹かれるものがあるが、本作の真価はプレイヤーの予想を遥かに超えるボリュームと、キャラクターへの並々ならぬ愛情にある。発売からわずかな期間で3,795本を売り上げ、234件のレビューで平均4.76点という驚異的な評価を叩き出した事実が、本作のクオリティを雄弁に物語っている。
本作最大の魅力は、主人公エルーシャのキャラクター造形だ。森の奥で両親と暮らしていた世間知らずな猫耳の少女が、冒険者だった父から聞いた外の世界への憧れを胸に旅立つ。甘いものが好きで、獣人族ゆえに快楽に弱いという設定は、この手のジャンルにおいて絶妙な説得力を持つ。彼女を取り巻くキャラクターも粒揃いだ。謎めいた聖騎士エリーザ、実力派冒険者ノア、剣術の達人エウノーレ——個性豊かな仲間たちとの関係性が、物語に奥行きと百合的な華やぎを与えている。
ゲームとしての作り込みも特筆に値する。プレイ時間約8時間、Hシーン130以上、差分込みCG1,000枚以上、エンディング15種類という圧倒的な物量は、個人制作の域を完全に超えている。宿屋のウェイトレスから貴族のメイド、酒場のバニー、果ては娼館まで、多彩なアルバイトでお金を稼ぐシステムは、世界に暮らしている実感を与えてくれる。一昔前のRPGへのオマージュを感じさせる広大なMAPも、制作者のこだわりが凝縮されたポイントだ。「街は広く、人が多いのが普通」という信念のもと作られた城塞都市は、従来のツクール製RPGでは味わえないスケール感を実現している。
シナリオ面では、ソフトな百合表現がストーリー全体に散りばめられている一方で、異種姦・閉じ込め・トランス・屈辱といったハードな展開が容赦なく襲いかかる。9割が非合意という潔い割り切りは、中途半端なご都合主義を排した結果であり、むしろ物語のリアリティと緊張感を高めている。「自分のオリキャラがえっちな目に遭うRPGを作りたい」という制作動機がそのまま作品の純度に直結しており、商業的な打算を感じさせない誠実さがプレイヤーの心を掴んでいるのだろう。
6年近い制作期間ゆえにイラストの画力にばらつきがある点は制作者自身も認めており、アップデートで順次修正予定とのこと。しかし、それを差し引いても本作が提供する体験の総量は圧倒的だ。獣人少女の過酷で甘美な冒険譚を、この価格で味わえるのは破格と言ってよい。個人開発の底力を見せつける一作として、本誌は自信を持って推薦する。
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