【Android版】クールなメイドさんと一緒っ!

サークル: スタジオねこキック発売日: 2022/07/06
★ 4.45(510 件)販売数: 3,648
作品形式:スマホゲーム

今回本誌が取り上げるのは、スタジオねこキックが送り出したスマートフォン向けシミュレーション作品「クールなメイドさんと一緒っ!」のAndroid版である。販売本数3,648本、評価スコア4.45点(510件)という数字が示すとおり、同ジャンルの中でも確かな支持を集めている一作だ。

本作の骨格を成すのは、流行り病で両親を失った主人公が、唯一傍に残ったメイド・マリアとともにボロボロの家屋から新生活を始めるという、どこか哀愁を帯びたスタート地点にある。喪失から始まる物語でありながら、その後に展開するのは日常の温もりとゆるやかな親密さの積み重ねだ。重さと柔らかさが絶妙に同居するこの起点の設計に、サークルの語り口のセンスを感じる。

ゲームシステムとしては、家事に勤しむマリアへちょっかいをかけることを中心に、冒険者として外へ出稼ぎに行ったり、ギルドに併設されたカジノでギャンブルに興じたりと、複数の行動軸が用意されている。稼いだ資金でプレゼントを贈り、親密度を上げていくという流れはシンプルながら、プレイヤーを飽きさせない循環を生んでいる。特筆すべきはその難易度設計の思い切りのよさで、期限付きのノルマも戦闘によるゲームオーバーも存在しない。マイペースに、やりたいことから積み上げてよいという設計は、スマートフォンという隙間時間で触るプラットフォームとの相性が際立って高い。編集部が本作をスマホゲームの優良作として推す理由のひとつがここにある。

ヒロインであるマリアの造形は、本作最大の魅力と断言できる。クールで無表情、感情を表に出すことが苦手というキャラクター設定は、ともすれば冷淡な印象に終始しがちなところだが、本作はその「取り繕われた無表情の奥にある感情」を丁寧に掘り起こしていく。主人公のことを赤ん坊の頃から見守ってきたという関係性の深さが、ゲーム進行とともに少しずつ解凍されていく過程は、いわゆる「じわじわと距離が縮まる」系の醍醐味を存分に体感させてくれる。家族同然の間柄という前提が生む独特の親密感は、このジャンルでも一線を画す設定だ。

ボイス面では全ヒロインを白川パコ氏が担当しており、メインのマリア、冒険者ギルドの受付嬢、カジノのディーラーという三者を、それぞれ異なるトーンと個性で演じ分けている。一人の声優がすべてを担いながらキャラクターの差別化に成功しているのは、演者の技量はもとより、キャラクター設計が明確に立っているからこそと言えるだろう。ディーラーの勝気な挑発口調と、受付嬢のお姉さん風の余裕、そしてマリアの抑制された静けさ——三者のコントラストがゲーム全体のバリエーションを豊かにしている。

イラスト差分の豊富さも評価が高い要因のひとつだ。差分の多さはやり込み要素としてダイレクトに機能し、「次は何が見られるか」という探索意欲を持続させる。スマートフォン版ということで、タッチ操作との親和性も高く、おさわり系のインタラクションがより直感的に楽しめる点も見逃せない。ジャンルタグに「秘密さわさわ」「すやすやえっち」と並ぶように、家事中のマリアへのちょっかいという行動が、ゲームの核心的な楽しさと地続きになっている設計が光る。

3,648本という販売実績と4点台後半の評価は、この手の作品群のなかで決して偶然の産物ではない。スローライフという軸を崩さずに、冒険・ギャンブル・ロマンスという複数のレイヤーを重ねたゲームデザインの完成度、声優の熱演、そしてマリアというヒロインの魅力——それらが噛み合った結果としての数字である。愛着と倦まなさを両立させた一作として、本誌はこの作品を今月の必プレイ候補に挙げる。

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