今回編集部が取り上げるのは、さーくるくらすけ倉庫が手がけるスマートフォン向けRPG「フランと罪人の島」のAndroid版だ。668本という販売数と、94件の評価から算出された4.61点という高スコアが示すように、本作はすでに同人RPGの水準を超えた完成度を備えた一作として、界隈で確固たる地位を築いている。
舞台となるのは、かつて罪人の流刑地として使われていた孤島。そこへひとりの少女騎士が、脱走した罪人を追って乗り込んでくるという導入は、一見シンプルだが、実にうまく機能している設定だ。少女騎士という記号が持つ「強さ」と「脆さ」の二面性、そして罪人の島という閉鎖的な舞台設定が、後に展開される屈辱と陵辱の物語に、確固たる緊張感をもたらしている。孤立無援の環境に放り込まれた主人公フランの境遇は、プレイヤーに息苦しいほどの没入感を与える。
ゲームシステムはオーソドックスなRPG形式を採用しており、初めて同人エロRPGに触れるプレイヤーでも迷わず遊び始められる安心感がある。物語の中盤で明確な分岐が設けられており、それ以降は異なるシナリオラインでストーリーが展開される構造になっている。この分岐設計が秀逸なのは、単にHシーンの傾向が変わるというだけにとどまらず、物語全体のトーンと主人公の置かれる状況そのものが変質していく点にある。編集部としては、この分岐構造を「ゲームとしての再プレイ動機」ときちんとリンクさせている設計眼を高く評価したい。
女主人公・女性視点というジャンルタグが示す通り、本作の語り口は一貫してフランの主観に寄り添っている。ツインテールという外見的記号とつるぺたという属性は、いわゆる「幼さ」と「強さ」が同居するキャラクター造形を担っており、ファンタジー世界における騎士という立場の誇りが、島の罪人たちによって少しずつ蹂躙されていく過程に、独特の倒錯した緊張感をもたらしている。陵辱描写が多めとされているこの作品において、その陵辱が「単なる性的消費」で終わらず、ストーリーの文脈に乗せられているのは、サークルの書き手としての力量を示している。
スマートフォン対応という点も本稿では特筆に値する。メッセージスキップとオートモードが実装されており、移動中やすき間時間にプレイするスマートフォンの利用環境に即した設計がなされている。PC版をベースに構築されたゲームデータをモバイル環境へ移植するという作業は技術的にも煩雑なはずだが、その結果として生まれた「いつでもどこでもフランの物語に入り込める」という体験は、作品の持つ世界観の浸透度をさらに高めている。
クリア後に解放されるCG閲覧とシーン回想部屋の存在も、作品の総合的な満足度に大きく寄与している。一度エンディングを迎えたプレイヤーが分岐点まで戻り、もうひとつのルートを歩めるようになっているため、二周目以降も充実したプレイ体験が保証される。このような「遊び切れる」設計は、668本という販売数に対して94件もの評価が集まっている事実と無関係ではないだろう。評価する意欲が湧くほどの完走率の高さ、それ自体が本作のゲームデザインの正直な成果だ。
さーくるくらすけ倉庫という作り手は、派手な演出や大規模な素材量で勝負するのではなく、設定の骨格を丁寧に立て、プレイヤーが物語に引きずり込まれる構造を地味に、しかし確実に積み上げるタイプのサークルだと本誌は見ている。「罪人の島」という舞台が持つ閉塞と退廃の空気を纏いながら、ひとりの少女騎士の誇りと屈辱の物語を最後まで語り抜くこの作品は、同ジャンルにおける水準点を静かに、しかし着実に引き上げている。手に取ったその夜から、フランという存在があなたの記憶に棲みついて離れなくなるだろう。
当サイトは18歳以上を対象とした
同人作品レビューサイトです。
あなたは18歳以上ですか?