今回本誌が取り上げるのは、サークル「のうむ」が手がけたスマートフォン向け成人向けゲーム「自分以外NPCの世界で旅する話」だ。3,000本を超える販売実績と、361件の評価から算出された4.49点という高水準のスコアは、本作が単なる話題作にとどまらず、真に支持を集めた作品であることを数字で証明している。
本作の核心にあるのは、きわめてシンプルかつ鋭利なコンセプトである。「自分以外の住人すべてがNPCである世界」——このワンアイデアが、ゲーム全体の空気感を支配し、プレイヤーをユニークな没入体験へと引き込む。主人公は何の能力も持たない「モブ」として異世界に迷い込み、そのまま日常を生き、出会った女性NPCたちと関係を結んでいく。育成要素も戦闘システムも存在しない。あるのは、旅する日常と、そこに点在するエロティックな邂逅だけだ。この潔い割り切りが、本作の最大の個性であり武器でもある。
近年の成人向けゲームは複雑なシステムや育成要素を盛り込む傾向があるが、のうむはそれと真逆の方向へ舵を切った。プレイヤーに求められるのは、世界を歩き、人物に話しかけ、関係性を育むことだけだ。その結果として生まれるのは、余計な摩擦のない、純粋な物語体験である。編集部はこの設計思想を高く評価したい。ゲームとしてのシステム的な複雑さを排除することで、作品が伝えたい本質——NPC同士が自我を持たない世界で、ひとりだけ意識を持つ存在として生きることの奇妙な孤独感と自由感——が、ノイズなくプレイヤーへ届く。
登場するNPCのバリエーションも見逃せない。道案内の町娘、女海賊、宿屋の女将、女騎士、スライム娘、踊り子、雪女——この顔ぶれは、ファンタジー世界を旅しているという感覚をしっかりと担保している。ただ性的な絡みだけを並べるのでなく、世界観に根ざしたキャラクター造形が施されている点は、のうむというサークルの丁寧な仕事ぶりを物語っている。それぞれのNPCが持つ役割や立場が、イベントの文脈と結びついており、プレイヤーが「旅をしている」という実感を常に保てるよう設計されている。
総CG数279枚、Hイベント数39という数値は、このジャンルの作品として十分なボリュームを誇る。ひとつひとつのイベントに相応の絵量が割り当てられており、視覚的な満足度は高い。また、一部のNPCは単純に話しかけるだけではイベントが発生しない仕掛けが用意されており、探索の余白を生み出している。この点はプレイヤーによって評価が分かれる要素だが、「世界を丁寧に歩く」というゲームの体験と合致した設計であり、一定の必然性がある。
Android向けに最適化されたスマートフォン版として提供されている本作は、プレイ環境の面でもアクセシビリティが高い。隙間時間に少しずつ旅を続けられる設計は、スマートフォンというプラットフォームの特性を活かしている。
4.49点という評価の高さは、本作の完成度とコンセプトの独自性への率直な評価の集積だろう。「旅する」という体験の質と、成人向けコンテンツとしての充実度、その両立を静かに、しかし確実に達成した一作として、本誌はこの作品を今月の注目作に挙げておきたい。
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