今回本誌が取り上げるのは、サークル「ドライドリーム」が手がけるAndroid向けエロトラップアドベンチャーRPG、「トラップ・バトルロワイヤル~女の子の誘惑を振り切れ!~」である。販売本数1,062本、評価4.38点(152件)という数字が示すとおり、同人スマホゲームという競合の激しいジャンルにおいて、確固たる支持層を獲得した一作だ。
本作の骨格を一言で表すなら、「誘惑との戦争」である。舞台となるのは人間とモンスターが共存する国フィルハイム。戦士育成の養成学校「サディスティア」に通う主人公ルイスは、卒業試験として課せられた男女入り乱れのバトルロワイヤルを突破しなければならない。しかし相手の女性たちは純粋な武力だけで挑んでくるわけではない。色仕掛け、快楽の罠、そして主人公の弱点を巧みに突く「女の武器」を惜しみなく駆使し、あの手この手でルイスを堕落させようと仕掛けてくる。このシナリオ構造の妙こそが、本作を単なる逆レイプ系アダルトゲームの枠に収まらない作品にしている要因だと編集部は見る。
特筆すべきはゲームメカニクスの緻密さだ。本作には「堕落システム」と呼ばれる独自の仕組みが組み込まれており、主人公が快楽に屈して堕落度が上がると、敵キャラクターの戦闘能力が強化され、セリフやイベントの内容まで変化する。これは単なる演出上のギミックではなく、プレイヤーの選択と行動が物語の展開そのものを書き換えていく、インタラクティブな構造として機能している。さらにバッドステータスの付与が重なることで戦局はより不利になり、「誘惑を振り切る」というゲームタイトルが示す緊張感が終始持続される。30種類以上のトラップイベントという圧倒的なボリュームも、この緊張感の維持に大きく貢献している。
ビジュアル面についても本誌は高く評価する。立ち絵CG31キャラクター、基本枚数54枚という充実した立ち絵陣に加え、イベントCGは基本枚数76枚・差分込みで129枚を誇る。合計では差分込み183枚という数字は、同規模のサークル作品の中でも群を抜く水準だ。戦闘中に敵キャラクターがダメージを受けると衣服が乱れ立ち絵が変化するシステム、そして特殊技の発動時には画面いっぱいに広がる迫力ある描き下ろしイラストが表示される演出は、スマートフォンという小さな画面においても視覚的な没入感を損なわない工夫として秀逸である。
キャラクター造形の面でも本作は丁寧に作り込まれている。主人公ルイスは正義感の強い優等生でありながら、幼馴染のエリナとの過去の関係から独特の弱点を抱えており、その人物像が物語に奥行きをもたらしている。エリナという幼馴染キャラクターの存在は単なる攻略対象ではなく、物語全体の発端と感情的な核を担う重要な役割を果たしており、彼女の「ルイスを守りたい」という純粋な動機がやがてどのような形で結実するのか、という問いかけがプレイヤーをストーリーに引き込む牽引力となっている。
サークル「ドライドリーム」が本作で初めて実装したマルチエンディングシステムも見逃せない要素だ。複数の結末が用意されているということは、プレイヤーが堕落を選ぶか抵抗を選ぶかという意思決定が積み重なって、まったく異なる結末へと分岐することを意味する。これにより周回プレイへの動機が生まれ、一回のクリアでは語り尽くせない体験の厚みが作品に与えられている。
今月の注目作として本誌がこの一本を選んだ理由は明確である。アダルトコンテンツとしての満足度だけでなく、ゲームとしての設計思想がしっかりと存在し、プレイヤーの選択を意味ある行為として扱おうとする誠実な作り手の姿勢が随所ににじみ出ているからだ。逆レイプ・M向けというニッチなジャンルを題材にしながら、1,000本超えという販売実績と4点台後半に迫る高評価を同時に達成した事実は、ジャンルへの深い理解と品質への確かなこだわりの証左だといえよう。エロゲーとRPGの融合を本気で突き詰めようとする作品を探しているなら、この一作は間違いなく手に取る価値がある。
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