今回編集部が取り上げるのは、サークル「かわいそうなのは抜ける」が手がけるAndroid向け魔法少女エロRPG、「魔法少女マジカルハート」である。販売本数754本、評価点4.44点(93件)というデータが示す通り、同ジャンルのスマートフォン向け作品としては際立った支持を集めている一本だ。
本作の骨格は、いわゆる「王道敗北魔法少女モノ」である。しかしその皮の内側に詰め込まれた設計の密度は、単純な敗北エロゲーの枠を大きく超えている。主人公・ころんは普通の少女として生きていたが、ある日突然、魔法少女マジカルハートへと変身し、異常性癖を持つ怪人集団「フシンシャ」との戦いに身を投じることになる。だが本誌が注目したいのは、この作品が「怪人との戦闘」だけを敵として描いていない点だ。
街に溢れるスマートフォン、SNS、マスコミ——それらもまた、主人公に牙をむく「敵」として機能する。魔法少女が怪人に敗北し辱められる場面はたちまち市民の端末に記録され、インターネットへと放流され、もはや回収不可能な形で世界中に拡散していく。この「社会的な死」という概念を羞恥・恥辱ジャンルの文脈に落とし込んだ構成は、プレイヤーに対してただのエロシーンを超えた圧迫感を与える仕掛けになっている。怪人に負けることの肉体的な苦痛と、社会的評判が音を立てて崩れていく精神的な損壊が同時進行するこの構図は、本作が練り込まれた「物語設計」を持っているという証左である。
システム面もまた、単なる飾りではない。装備スロット9か所、約80種類の衣装・装備を組み合わせられる着せ替えシステムは、立ち絵にリアルタイムで反映される。戦闘の役に立たないという潔い割り切りがむしろ正直で好感を持てる。露出度の高い格好で街中を歩けば市民の反応が変わり、社会的評判が下落するという連動設計は、単なるコスチューム変更を超えた「行動の結果」を体験させる仕組みだ。ダメージによる衣装破損も含め、視覚的演出と数値的ゲームプレイが有機的につながっている。
戦闘中にいつでも全裸土下座による全面降伏が選べるという独自システムも、本作の個性を語る上で避けて通れない。通常のRPGにおける「戦略的撤退」がこの作品においてはまったく別の文脈に変換されており、ゲームメカニクスとエロコンテンツの融合という点で一種の発明と言えるだろう。このシステムが作中で「だいぶマシなほう」と注釈されているのも、ブラックユーモアとして機能しており、作品全体のトーンを的確に示している。
キャラクター設計も見逃せない。謎めいた魔法少女・とおるは、物語に複線と奥行きを与える存在として配置されており、パートナー生物・せーしくんの献身的なサポートぶりは、凄惨な展開の中に奇妙な温度感を生む。怪人側も「固有の性癖を持つ個体」として設計されており、それぞれの敗北イベントが画一的でないことが、93件という評価件数にも反映されているはずだ。
全5話のメインストーリーに加え、自由選択制のサブクエスト、街歩きによるランダムイベントと、ボリュームの充実度も確かである。HCGは40種類以上に差分が加わり、エロイベントは34以上。スマートフォンというプラットフォームで、これだけの密度を実現したことは、サークルの制作力の高さを物語っている。
超ひどい・合意なし・露出・スカトロ・リョナと、ジャンルタグが示す通り、本作のコンテンツは相当に振り切れた領域に踏み込んでいる。しかしそれでもなお4.44点という高評価が93人のユーザーから寄せられているという事実は、本作が単に過激なだけではなく、そのコンテンツを受け止めるだけのゲームとしての骨格と物語の誠実さを備えているからに他ならない。同人ゲームの世界において、ジャンルの極端さと作品としての完成度を両立させることがいかに難しいか——本作はその難題に、一定の答えを出してみせた作品である。本誌としては、このジャンルの愛好者にとって見逃しがたい一作として、確信を持って推薦する。
当サイトは18歳以上を対象とした
同人作品レビューサイトです。
あなたは18歳以上ですか?