今回編集部が取り上げるのは、サークル「夏中症」が手がけるスマートフォン向けエロRPG『褐色むすめ夏季ちゃん~波良間瀬村と五つの祠~』である。販売数1,501本、評価スコア4.7点(130件)という数字が、この作品の訴求力をそのまま体現している。同人スマホゲームという市場でこれだけの数字を叩き出せる作品は決して多くなく、本誌もその内実を丁寧に掘り下げたいと思う。
本作の最大の特徴は、「夏季ちゃん」というキャラクターが持つ圧倒的なビジュアルアイデンティティにある。褐色・日焼けという属性は、同人エロゲ市場においても根強い人気を誇るジャンルだが、この作品はそこに巨乳・爆乳という要素を加え、さらに黒乳首という細部への拘りまで盛り込んでいる。キャラクター造形への執着は、立ち絵15枚という枚数にも表れており、メインイベント20枚・エンディング3枚を合わせた基本総枚数38枚という構成全体から、サークルの「夏季ちゃんを見せたい」という確固たる意志が伝わってくる。
ゲームシステムの面でも、本作は一筋縄ではいかない設計をしている。ストーリーの流れに沿ってエロイベントが自動的に解放されていく受動型の構造ではなく、村「波良間瀬村」と五つの祠を舞台におつかいや探索を行いながら自らフラグを立て、性欲レベルという内部パラメータの上昇に応じて段階的にイベントを閲覧していく能動型の仕組みが採用されている。これは一見すると複雑に映るかもしれないが、プレイヤーに「自分でキャラクターとの距離を縮めていく」感覚を与える設計であり、没入感という点で非常に優れた選択だと言える。
性欲レベルというパラメータが存在することで、同じキャラクターとのイベントでも見え方が異なってくる。初期状態では控えめな関係性に留まっていたものが、レベルの上昇とともに大胆な展開へと移行していく。ボテ腹や黒乳首の解禁が回想の大半を埋めた後というのも、プレイヤーへの報酬設計として巧みだ。探索・おつかいを丁寧にこなしてきたプレイヤーだけが辿り着ける「ご褒美」として機能しており、長時間のプレイを動機づける設計になっている。
シチュエーションの多様さも本作の強みの一つである。誘い受け・流されという王道から、おねショタ・一部ショタおね・一部獣姦という幅広い展開が用意されており、プレイヤーの嗜好に応じた楽しみ方ができる。出産イベントについてはサークル側が明確に「なし」と告知しており、この潔さもある種の誠実さだ。ジャンルに「妊娠/孕ませ」が含まれているにもかかわらず、そこから派生する出産描写には踏み込まないという線引きは、作者の「守備範囲」という言葉の通り、無理に範囲を広げず自分の強みに集中するという姿勢の表れだろう。
スマートフォンという形式を選んだことにも意味がある。エロ同人ゲームをPCの前でしか楽しめないという制約は、ユーザー層を大きく限定してきた。スマホ対応によってその制約が取り払われ、より気軽にプレイできる環境が整ったことが、1,500本超という販売数に貢献していることは間違いない。4.7点という高評価も、移植クオリティへの信頼感が積み重なった結果であると見てよいだろう。
宿屋の自室テーブルに置かれたヘルプや攻略ヒントの同梱といった細かいユーザー配慮も、評価の高さを裏付けるものだ。フラグ管理型のゲームは、詰まった際に一気に萎えるという弱点を抱えている。それを補うために手がかりをゲーム内に丁寧に仕込んでいる点は、ユーザー体験を真剣に考えているサークルの姿勢として評価に値する。
「夏中症」というサークル名が、強烈な日差しと褐色の肌を連想させるのは偶然ではないだろう。夏という季節感、夏季ちゃんという名前、褐色・日焼けという属性が一本の軸で貫かれた作品世界の統一感は、キャラクターへの愛着を深めるうえで大きく機能している。ジャンルやシチュエーションをただ羅列するのではなく、一人のキャラクターと村という舞台を中心に据えて物語を組み立てているからこそ、プレイヤーはエロイベントを「消費」するのではなく「体験」できる。評価スコアの高さはそのあたりの設計精度を如実に反映しており、今月の注目作として本誌が推す理由も、そこにある。
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