今回編集部が取り上げるのは、ハリケーンドットコムが手がけるスマートフォン向け同人ゲーム「シスターエリスの為に鐘は鳴る」である。販売本数4,384本、評価4.47点(271件)という数字が示すとおり、コアなファンの間で確固たる支持を集めた一作だ。ジャンルにはアニメ・ドット・シスター・巨乳/爆乳などが並び、その方向性はタイトル画面を見る前から明快に伝わってくる。だが本誌がこの作品を今回の特集に選んだ理由は、単なるH要素の充実だけに留まらない。ゲームとしての構造的な面白さと、キャラクターの造形に一種の誠実さを感じたからである。
物語の舞台となるのは、荒廃した地方の小さな教会だ。派遣されたばかりのシスター・エリスは、その惨状に途方に暮れる。熱心な信仰心を持ちながらも現実の壁にぶつかるという出発点は、一見するとありふれた設定に思えるかもしれない。しかし「自らの身体を使って寄付金を集める」という主人公の決断が物語に独特の緊張感を与えている。これは堕落の物語ではなく、歪んだかたちではあれ信仰と奉仕の物語として機能しているのだ。エリスが「主の為ならば」と自らを納得させていく過程は、プレイヤーに妙な共感と背徳感を同時にもたらす。この二律背反こそが、本作の中核にある魅力だと本誌は見ている。
Hシーンの実装においては、ドット絵アニメーションという手法が存分に活かされている。昨今のフルカラーCGが主流の市場において、ドット絵を選ぶ判断には一定の覚悟がいる。だがハリケーンドットコムはその選択を迷いなく貫き、キャラクターの動きと表情に細やかな情報量を詰め込んでいる。レベルに応じて体位が変化するという仕組みは、単なる演出の多様化にとどまらず、ゲームとしての進行と性的描写が有機的に結びつく構造を生み出している。「もっと先を見たい」という動機がゲームの進行を促すドライバーとして機能しており、エロゲーとしての設計として非常に理にかなっている。
シチュエーションの幅広さも本作の評価を押し上げた要因のひとつだろう。懺悔室という宗教的空間を舞台にした壁越しのフェラチオは、視覚的な遮断と聴覚・触覚のみによる体験というユニークな演出として成立している。寄付金の額によってアクセスできる部屋が変わるという段階制は、単なる難易度設定ではなく作品世界の「格差」と「秘密」を象徴的に表現したものだ。そしてさらに上のランクへと進んだ先に待ち受ける機械責めや乱交といった展開は、序盤のエリスの清廉なキャラクター像とのギャップを最大限に利用している。巨乳/爆乳・道具/異物というジャンルタグが示す過激さも、このゲーム的文脈の中に置かれることで「解放」の物語として読み替えることができる。
キャラクター造形についても触れておきたい。シスター・エリスは「真面目で勤勉」という属性を持ちながら、性に対して積極的に向き合っていくという設定が与えられている。こうしたキャラクターはややもすると設定の矛盾として機能してしまうが、本作では「信仰の為なら身体を差し出すことも良し」という内的論理が比較的一貫して描かれており、キャラクターの行動に破綻が少ない。金髪というビジュアル要素も、異国の地に赴任した孤独なシスターというイメージを補強しており、設定とキャラクターデザインの整合性が高い。こういった細部への配慮が、271件の評価レビューにおいて4.47という高評価を生み出した根拠のひとつではないだろうか。
スマートフォンという媒体に最適化された本作は、移動中や隙間時間にプレイするというライフスタイルとの親和性も高い。タッチ操作を前提としたドット絵ゲームというジャンルの組み合わせは、プレイフィールとしても自然だ。4,384本という販売本数は、スマホ対応という間口の広さと、作品そのものの完成度が掛け合わさって生まれた結果である。本誌が長年追い続けてきた同人ゲーム市場において、ハリケーンドットコムというサークルの名は「ドット絵の誠実な使い手」として記憶に刻まれるべきだろう。信仰と欲望が交差する小さな教会の物語は、プレイヤーの心に静かな余韻を残す。その鐘の音が意味するものを、ぜひ自らの手で確かめてほしい。
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