今回編集部が取り上げるのは、サークル「和菓子日和」が手がけるスマートフォン向け本格RPG『エリーゼと恍惚のマリオネット』である。販売数1,366本、評価4.76点(38件)という数字は、同人スマホゲームというジャンルの中でも際立った支持を示しており、本誌が今月特に注目すべき一作として選出するに値する完成度を備えている。
物語の舞台となるのは「メルクマール」と呼ばれる街だ。主人公エリーゼは依頼をこなして日銭を稼ぐ冒険者であり、その佇まいはいかにも正統派ファンタジーのヒロインである。しかし本作の真骨頂は、そのエリーゼが「快楽堕ち」へと向かう過程にある。帰り道に倒れていた少女・ローズを助けたことから始まる物語は、一見すると王道のRPGプロローグに見えるが、その先に待ち受けるものは、主人公の尊厳が少しずつ侵食されていく緻密に設計された転落劇だ。
戦闘システムはターン制RPGの基本を踏襲しながらも、本作独自の仕掛けが随所に盛り込まれている。特定の条件下で発生する「戦闘中Hシーン」は、単なる演出上の逸脱ではなく、ゲームプレイそのものと有機的に絡み合っている点が評価に値する。敵との交戦状況、蓄積する淫乱値、変化するHステータスといったパラメータ群が複合的に絡み合い、戦闘の緊張感とエロティックな文脈が同時進行する構造は、同系統の作品の中でも洗練されていると言えるだろう。戦闘H一辺倒でなく、フィールドマップ上でも条件を満たすことでHシーンが発生する設計は、ゲームとしての探索意欲を損なわない工夫として機能している。
CGボリュームにも触れないわけにはいかない。基本CG枚数は立ち絵を含めると43枚、そしてそこから派生する総CG枚数は519枚以上に達する。この数字は同人規模の作品としては相当な密度であり、1シーンあたりの差分展開が丁寧に作り込まれていることを示している。シチュエーションのバリエーションも豊富で、対人の凌辱から触手やスライムといった異種系、さらにはボテ腹表現まで、多様な嗜好に応える構成になっている。獣耳キャラクターの存在も視覚的アクセントとして機能しており、ビジュアル面の完成度の高さが評価点の安定に直結していると見て間違いない。
登場人物の設計にも、サークルの丁寧な仕事ぶりが滲み出ている。呪いの解除や治療を得意とする魔術士・キリエは、ストーリーの展開において重要な役割を担うと同時に、遺物採取という趣味を持つキャラクター造形が物語世界の厚みを支えている。倒れていた少女・ローズの「深い事情」も、プレイヤーの想像力を引きつける謎として機能しており、エリーゼと絡み合う関係性の変化がゲームの牽引力になっている。三者それぞれの立ち位置と動機が噛み合ってこそ、快楽堕ちというテーマが単なるシチュエーションの羅列に終わらず、物語としての重力を帯びるのだ。
ゲームとしての利便性という観点でも、本作は抜かりがない。メッセージスキップ、回想部屋、クリア後の全解放といった機能が一通り実装されており、周回プレイへの配慮が行き届いている。シーンの再閲覧を前提とした設計は、コレクション欲を満たすという意味でも同人エロRPGの定石を押さえており、スマートフォンという操作環境においてもストレスなく機能するよう最適化されている点は、PC版から移植された作品として特筆すべき品質管理だろう。
4.76という高評価は、CG枚数やシステム面の充実だけで成立するものではない。それは「戦闘の緊張とエロスの同居」「快楽堕ちの段階的な描写」「キャラクターの感情と肉体の双方が侵食されていく物語構造」といった要素が一つのゲーム体験として統合されているからこそ生まれる数字である。本誌が本作を推す理由は、技術的なスペックよりも、そうした設計者の意図と実現された体験の一致にある。和菓子日和というサークルの名は、エロRPG好きの読者であれば、本作を経て記憶に刻まれることになるはずだ。
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