今回編集部が取り上げるのは、スマートフォン向け同人ゲームという土俵で独自の存在感を放つSCAR制作の「Let's go UFJ」である。Android端末向けに展開されるこの作品、販売数672本・評価4.3点(111件)という数字は、スマホ同人ゲームというニッチな市場においては決して小さくない実績だ。同ジャンルには大手ゲームアプリの影が常につきまとう中、同人の手仕事による温もりがここまで確固たる評価を勝ち取った背景には、制作者の確かなこだわりがある。
本作の第一の魅力は、ドット絵によるビジュアル表現である。アニメ調のキャラクターデザインをピクセルアートで落とし込むという手法は、一見すると相反する美学の融合のようにも思えるが、SCARはこれを高い完成度で成立させている。ドット絵特有のレトロな質感が、アニメ的な色彩感覚と組み合わさることで、懐かしさとフレッシュさが同居する独特のビジュアルが生まれている。スマートフォンの小さな画面において、ドット絵というフォーマットが実は非常に相性が良いという点も見逃せない。高精細なグラフィックが当たり前になった現代において、あえてドットを選ぶ制作者の審美眼は、確かな説得力を持っている。
ジャンルタグに並ぶ「学生」「下着」「アヘ顔」という組み合わせは、同人エロゲームにおける一種の古典的な文法であるが、本作はその文法を忠実に、かつ丁寧に体現している。「マニアック/変態」というタグが示すように、メインストリームからやや外れた嗜好を正面から受け止める姿勢が作品全体に貫かれており、それが熱心なファン層の心を掴んでいる一因であろう。評価件数111件という数は、実際にプレイして感想を残した層の厚さを示しており、単に購入されて終わりではなく、プレイヤーとの間に確かなコミュニケーションが成立していることを物語っている。
スマホゲームという媒体の選択そのものについても、本誌はあえて注目したい。PCがメインプラットフォームである同人ゲーム市場において、Android向け作品を手がけるサークルはいまだ少数派である。開発環境の違い、操作インターフェースの設計、端末依存の問題など、PCゲームとは異なる技術的ハードルが幾重にも存在する中で、SCARはそれを乗り越えてスマホ専用作品として世に送り出した。672本という販売数は、このハードルへの挑戦と、それを突破した結果として受け取るべき数字である。
4.3点という評価スコアは、同人ゲームの評価として見ると非常に安定した高得点である。評価というものは、期待値と実体験の乖離によって大きく上下するものだが、本作がこのスコアを維持しているということは、作品が提示するビジョンとプレイヤーが体験する内容が概ね一致しているということを意味する。過剰な期待を煽らず、しかし作品の魅力を誠実に伝えるという姿勢が、ここに結実しているのだろう。
本作を語るうえで避けられないのが、同人スマホゲームというジャンル全体の可能性についてである。大手アプリストアに並ぶ無数の作品の中で、同人制作者が個人の感性を武器に真正面から勝負する——そのことへの清々しさを、本誌は強く感じる。SCARが「Let's go UFJ」で示したのは、プラットフォームへの適応力と、自分たちの作りたいものへの純粋な執着心が両立しうるということだ。ドットが輝き、キャラクターが息づき、プレイヤーがそれに応える——その小さくも確かな循環の中に、同人ゲームという文化の本質がある。本作はその一例として、長く記憶されるべき作品である。
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