今回編集部が取り上げるのは、サークル「あんかけプリン」が手がけたスマートフォン向けアクションゲーム「ショタコンファイト! ~ぼくの貞操が狙われている~」である。販売本数1,510本、評価4.08点という数字が示すとおり、同ジャンルのファンから着実な支持を集めている本作だが、その魅力はスコアや数字が語る以上に多層的だ。
本誌がまず注目したのは、ジャンル選択の妙である。おねショタというテーマ自体は同人ゲーム界隈において一定の市民権を得ているが、その舞台にベルトスクロールアクションを据えるという発想は、なかなかに鋭い。ベルトスクロールアクション、いわゆるベルスクは1980年代から90年代にかけてアーケードを席巻したジャンルであり、「大勢の敵を倒しながら画面を右へ右へと進む」という構造の明快さが最大の魅力だ。その王道フォーマットを成人向け同人ゲームに接続するセンスは、レトロゲームへの深い愛着なくしては生まれ得ない。
物語の骨格はシンプルながら、よく練られている。炎拳流の後継者として日々修行に励む少年・勇人が、姉から奥義を授かった翌日から豹変したおねいさんたちに次々と狙われる、という設定だ。格闘技の奥義が「女性を発情させる気」として機能するという逆転の構図は、ギャグとエロスを両立させる巧みな仕掛けになっている。敵を「倒す」ではなく「正気に戻す」という表現を採用している点にも、世界観への丁寧な配慮が感じられる。
ゲームシステム面では、難易度のカスタマイズ性が光る。残機制という古典的なルールを採用しつつ、残機数の有無・エクステンド設定・無制限モードといった細かな調整を可能にした設計は、「ベルスクが得意な層」と「ベルスクが苦手な層」の双方を取り込もうとする明確な意図の表れだ。アクションゲームはどうしても操作難度がファン層を狭める要因になりがちだが、本作はその壁を丁寧に取り除こうとしている。編集部の見立てでは、このアプローチが1,500本超という販売実績に直結しているはずだ。
グラフィック面における最大の見せ場は、全敵キャラクターに実装されたドットアニメーションである。36体という敵の数は、同規模の同人ゲームとしては相当なボリュームといってよい。しかもその全員に個別のモーションエロとHシーンが用意されており、単なる「数合わせ」ではないことが伝わってくる。さらに特筆すべきは、エフェクト表現においてUnityのパーティクルシステムを使わず、ドットパーティクルで統一したこだわりだ。現代のゲームエンジンが提供する手軽なエフェクトを意図的に排し、ドット絵の文法で画面を完結させようとする姿勢は、クリエイターとしての美学の発露に他ならない。
キャラクターの造形にも手が抜かれていない。主人公・勇人を演じる白川パコ氏、姉・えみるを演じる夕霧花音氏、母・えまを演じる陽向ネムリ氏と、キャスト陣はいずれもジャンルに精通した声優を揃えた布陣だ。「ほぼフルボイス」という表記が示すように、Hシーン中の掛け合いや同時絶頂の台詞まで音声が充てられており、没入感の底上げに大きく寄与している。テキストとグラフィックだけで成立させるゲームが多い同人界隈において、ここまで音声に投資するサークルは決して多くない。
シチュエーションの設計も一貫している。手コキ、ピストン、フェラ、中出し、射精とシーンの種類を揃えつつ、すべてが「女性上位」で統一されている点は、おねショタというジャンルの文脈上きわめて正直な選択だ。主人公が受け身に置かれるという構図を崩さず、一つひとつのシーンで世界観の統一感を保っている。ジャンル表記に「逆レ・男性受け」が明記されていることからも、作り手が自作のアイデンティティを明確に把握していることが読み取れる。
スマートフォン向けという販売形態についても触れておきたい。PCが主戦場の同人エロゲー市場においてスマホ版として展開することは、ある種の挑戦だ。ベルトスクロールアクションというジャンルはもともとアーケードスティックやゲームパッドとの親和性が高く、タッチ操作への最適化は難題になりえる。それでもあえてスマホ版として世に出した判断には、より広い層のプレイヤーに届けたいという強い意志が感じられる。
「どこか懐かしさのあるベルトスクロールアクション」というサークル自身の言葉が、本作の本質を一番よく言い表している。レトロゲームへの敬意を軸に、おねショタという現代的なジャンル、充実した音声演出、そして丁寧に設計された難易度調整が一つの作品として有機的に結びついた本作は、同人ゲームというフィールドが持つ多様性と創造性の豊かさを改めて実感させてくれる一作である。単なるエロゲーに留まらない、ゲームとしての骨格を持った作品を求める読者であれば、手に取る価値は十分にある。
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